あの日の僕らはただ


逆さまになって空を見ていた


世界が終わるらしいって


テレビの中は大騒ぎで


怪獣が踏み荒らした東京を


何もできず


ただ喰い入る様にみていたのだ


翼のあったあの頃は


あの雲の中にある世界を知っていた


月に触れられたあの頃は


憂鬱なんて知らなかった


日常


腹が減ったり


眠くなったり


恋をしたり


時間は不可逆にくだらなくて


僕たちはだらしなくて


廃墟になった学校の屋上で


誰かが流してるラジオの電波を拾って


その歌を二人で歌ったんだ


アダムとイヴは禁断の果実に手を伸ばした


心も体も


今は休息を求めている


堕ちていく


墜ちていく


堕天使は墜落して


それでもなお


地面を見ることはなく


ただひたすらに


遠ざかる空を泳いで


確実に沈んでいく