「お前はもう必要ない。」

本当はそう言って欲しかった

飼い殺されたまま

この呼吸は止まるのだろうか

暗い暗い部屋の隅で

今日も意味のないことをしている

世界を救うとか

誰もが羨む夢を叶えるとか

いつしかそんな事を考えるようになった

まるで子供だ

七夕飾りの短冊に書いた

そんなくだらない戯言を思い出すほど

裏返しに同じくらいくだらない現実

多分夢を諦めることは

叶わない夢を見ること同義で

それは流れ星に願いをかけるだけで

買ってもいない宝くじが当たるようなことで

結局のところ超現実ってことだ

超現実っていうのは

現実を超えているって話で

超美味しい物は美味しい物だけど

超現実は現実ではないから

だから結局

そういうことだと思う

夢を諦める人を笑えないのは

誰もが夢を諦めているからだとして

では子供の大それた夢を笑うのは

その実僕たちは

諦めた夢の叶え方を

知っていたからではないかと思う

操られるように生きている日々を超え

直面した現実は

あまりに自由で

あまりに不自由だった

辞表の書き方を調べた

実際に紙に書いた

いつもカバンに入れるようになった

昼休みトイレで開くようになった

夜眠るのが怖くて

朝起きると絶望して

帰りたいところすら思いつかず

行きたいところもわからない

いつもと同じ電車の

いつもと同じ車両に

あの人の姿が消えた

その日僕は辞表を破いて

トイレに流した

僕は笑った

くつくつと沸いていた湯を

流しに放つ

まだ火にかけて間もない体は熱い

でもきっと

この怒りもじきに消え、

そしていつか

虚しさに変わる