今日は久しぶりに一倉定師をご紹介いたします。

一倉 定
社長の条件篇


部下の立場に立って顧客を無視する


ある会社の工場長は、熱心な人間関係論者だった。

企業は何よりも「人の和」が大切であり、そのためには何事も、よく部下と話し合って決めなければならないと思っていた。


私はある日、工場長と二人きりで話しをした。


工場長の人間関係論それ自体は反対ではない。

しかしそれが経営に優先してしまうのはいけない。


企業はお客様から仕事をいただいて、初めて食べていけるのだ。

ところが、お客様というものは、あなたの会社の内部事情など全然考えない。

考えるのは自分の立場だけなのだ。

「これこれの品物をいつまでに欲しい。」という要求を、あなたの会社にしてくるだけなのだ。


当然のこととして、あなたの会社の内部事情と合うはずがない。

お客様の要求と食い違う内部事情を、いかにしてお客様の要求に近づけるかを考え、実現させるのが工場長の役目なのだ。


あなたのように、部下の立場に立って、お客様の要求を二の次にしてしまうのでは、しまいにはお客様から愛想をつかされてしまう。

そうなったら会社は終わりだ。


会社を存続させるためには、いかにしてお客様の要求に、こたえるかを考えるのが第1であり、工場長の責任において、自らの意思によって、お客様に納期の返答をすべきである。


部下の意見を聞かなければ決められないようでは、工場長として失格である。


如何に無理であろうと、これだけの仕事をこなさなければやっていけないということを、よくよく部下に説明し、納得させ、部下と一緒になって、死に物狂いで努力しなければならないのだ。


「部下に無理を言ってはいけない。」というのは、遊戯の理論であって、企業戦争の理論ではない。




経営者は、企業あっての”人間関係”であることを忘れないでもらいたい。

人間関係あっての”企業”ではないのである


一倉 定