友人、って言っても、出逢って2年ぐらいの間は好きだったひとだ。

そのひとはUさん。

はじめて逢ったとき、Uさんには既に彼女がいた。

好きになって少し経ったあと、気づいたらUさんは結婚していた。
(大勢の飲み会で「Uさんは結婚して今幸せだしねー!」などとからかわれた瞬間に知った)
(もちろんその後しこたま飲んで、記憶がない)

結婚したことももちろんショックだったけど、「彼女とはうまくいっていない」などと言っていたのにちゃっかり結婚した。

そして、結婚したことを教えてくれなかった。

こっちの方がショックだった。オレらの仲ってそんなもんなん?みたいな。

だって、毎日のように一緒に飲み歩いてたんだもん。

まあ、そんな昔話はどうでもよくてね、私もSちゃんという好きなひとが出来て、Uさんとは1年に1・2回飲むぐらいの仲、要するに友人になっていた。
(なんか変な言い方だけど、好きなひと→友人ってことで)

共通の友人と3人で旅行に行ったこともある。素で話せる私の数少ない友人だ。
(少なくとも私はそう思っている)

そんなUさんがね、最後に飲んでから5ヶ月ぐらい経った頃、夜中にメールしてきて。

「遺書書いた」と。

いつも冗談ばかり言うUさんだったけど、これはマジなんだろうなあとすぐ思った。

「遺書読ませてよ、私のも読ませてあげるから」などとふざけながらも(私は普段からこういう人間なので)、心では重く受け止めていた。

Uさんが睡眠薬がどうとか言うので、「飲んだら外出ちゃダメだよ、最悪捕まる」「ちなみに私は飲んで外出て骨折しました」などとたしなめてみたり。

話すうちに、Uさんのどんよりとした雰囲気が、少しだけ和らいだように感じた。

それから4日間ほど、メールのやり取りが途切れながらも続いた。

「死にたい」「死んだらぶん殴るぞ」とふざけた会話をしたり。

Uさんから「今から試しにやってみる」(自殺のこと)と来て、ビビって警察に通報したり。
(Uさんは頑なに居場所を言わなかったので、通報すれば特定できるかもという思いから)
(そのときは結局、半日近く経ってまたメールが来た)

4日間、気づけば私はほとんど寝ずに、食欲もあまりなかった。

こんな人間でもある程度は心配していたんだろう。

ただ私も死にたかった人間、死にたいやつの気持ちはわかる…と、こんなことがあるまでは思っていたんだけど、全然、全く、わからなかった。

Uさんと、話しても話しても理解し合えない。

私は感情の起伏が激しいので、話すうちに熱くなってしまうこともあった。

4日目のある日、Uさんがメールで「お金ください」と言った。

その瞬間私は「ああ、最初からこれが言いたかったのかな…」と思って落胆した。

でもその気持ちは抑えて、お金は渡せない、ということだけ言った。
(正直、絶対渡したくなかった、昔から金の貸し借りが大嫌いなので)
(今考えれば私も頭かたいなあという話だけど)

するとUさんは急に素っ気なくなり、「じゃあいいです」と。

もうね…カッチーーーンと…頭にきた。

そっからはもう喧嘩。

「金があったら死なないのか? じゃあなくなったらまた死にたくなるんじゃない?」「金があったって死にたい奴は死ぬ」

「自分だけがかわいそうみたいな顔すんな」「死にたいからって調子乗ってんじゃねーよ!」

などなど…。

そして拒否登録。

信じられますか? 死にたいと言ってきた人間にこの暴言。挙句拒否。

売り言葉に買い言葉という感じで、暴言がどんどん出てきて。泣くほど腹が立った。

Uさんはその3日後、死んだ。

きっと、ざまあみろって思っていたかな。

いや、私のことなんて考えてなかったかな、どうかな。

Uさんが元々死ぬ気でいたのか、そうじゃなかったのかはわからないし、私の言葉がUさんの背中を押したかどうかもわからない。

わかったことといえば、私はいつだって自分のことしか考えていないということ。

そして、私は、あんなにも死にたかったのに、死にたい奴の気持ちは微塵もわからないってこと。

痛みを知っていれば、ひとの痛みがわかるなんて言うけど、私にはわからなかったし、Uさんを救うことはできなかった。

最後にUさんを傷つけてしまったこと、後悔してるよ。