ややさし。 | 作家 吉井春樹 366の手紙。

ややさし。

 
 

やさしさは、見えません。聞こえません。

 

姿形がありません。だから、やさしさをよく知りません。

 

家族のやさしさを、友達のやさしさを、

 

恋人のやさしさを、きっと、まるで気づいてません。

 

お店のひとから、学校のひとから、会社のひとから、

 

ネットのひとから、となりのひとから、とおくひとからも、

 

やさしさを、もらった記憶が、もらったはずがありません。

 

 

具体的でない、数字的でもない、ただの空想です。

 

絵に描いた餅で、机上の空論で、甘ったるい答えです。

 

 

だけど、ぼくは生きてます。

 

どちらかというと、しあわせに。

 

 

やさしさは、目の前にあるわけではありません。

 

あったように思えてすぐに消えてなくなります。

 

そして、やっぱり、なかったことになります。

 

 

だけど、ぼくは生きてます。

 

やさしくないはずのひとたちに囲まれ、

 

やさしくないはずの世界の中で。

 

 

そして、やさしくないはずのひとたちも、

 

やさしくないはずの世界を生きています。

 

 

それはきっと、知らないからです。

 

やさしさを全然知らないからです。

 

見えてない、聞こえてない、触れてない。

 

覚えてない、許してない、信じてない。

 

 

 

やさしさのほとんどは、

 

目の前にはないんです。想像できる範囲にもないんです。

 

ぼくの世界に、やさしさはないんです。

 

 

 

やさしくない姿形をして、

 

やさしくない角度や距離から、

 

やさしくない雰囲気をだしながら。

 

ただそこに、やさしくない何かとして、

 

ぽっこり、ぷっくり、ふわふわと、あるんです。

 

 

 

やさしさのほとんどは

 

やさしくないものばかりです。

 

 

 

気づかれず、誤解されもし、

 

たまたま、凹凸が合うときだけ

 

「やさしい」になるんです。

 

 

 

ほとんどのやさしさを知らないまま

 

それでもしあわせにいきている。

 

 
 
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