[恋文]征服を。 | 作家 吉井春樹 366の手紙。

[恋文]征服を。

すでに侵攻中なのです。

こうしている今でさえも、

細胞の、瞬間の、意思の、

ひとつひとつを、

着実に侵しているのですね。

もしかしたら、

あなたは気づいてないかも。

でもきっと、

気づいてるような気もするけど。

それは、心地よいもの。

そして、苦しみから生まれるもの。

だからこそ、手放せないのです。

どんな苦しみより、

どんな後悔より不安より、

喜びとか幸せとか興奮より、

もっともっともっと、本物。

ひとつひとつを、塗り変えていく。

染めていくというより、

色を抜いていくような。

半端なことはせず、

やるからには

徹底的に無我夢中で。

最後の最後まで、

諦めず戦い抜く覚悟で。

ただひとりのあなたを、

のっとるのです。完全に。

もちろん、あなたがそう、

望むかぎり。かならず。