ずっと伝えようと思いながら忘れていた事があるの、と言って話してくれたのは、その赤いベレーにまつわる話でした。
友人は、パティ・スミスさんというかつてパンクの女王と言われたミュージシャンのファンなのだそうです。そのパティ・スミスさんが自叙伝の出版記念に来日した際のサイン会に、彼女は赤いベレーを被って出かけたそうです。行ってみると、予想以上に人が集まり、サイン会に参加できる枠にぎりぎりで入る事ができて、じっと並んでいたら、パティ・スミスさんが、友人を見て、小さな囁くような声で、「その赤い帽子がとても素敵!」と言ってくれたのだそうです。
友人は大ファンであるパティさんから声をかけてもらう事ができて、嬉しかったそうです。そして、私のおかげだと言うのです。
私は、自作の帽子をパティ・スミスさんから褒めてもらえた事と、私の帽子が友人がハッピーになれる事に役立った事が嬉しかったです。ステキなエピソードでした。
赤いベレーは、ハート形にハトメを80個くらい打ち付けたデザインでした。頭にイメージが湧き、下絵無しで打ちました。木槌で1つずつ。とても大変な作業でした。