あのひとは もう気付く頃よ~
バスルームに ルージュの伝言~
てことで。
今日の話題はルージュの伝言
小学校の頃、魔女の宅急便がはやりまして。
主人公のキキは魔女なので、14歳になったら1人で知らない町に行って自活しないといけないんですね。
ホウキに乗って町へ向かう途中にラジオで聴いていたのがこの曲ってことで。
これもまたはやったものでした。
その頃は、なんで、お風呂場に口紅で伝言書くのか。
なんであのひとのママに会うのか。
なんで電話で自分のママに叱ってもらうのか。
サッパリわかんなかったんですけどね
小学生の頭で、伝言と言えば「おやつにメロンパンあり」とか「明日は習字道具持って行くこと」くらいのもんですから。
この年になって、ははあ・・・そういう意味であったか、と腑に落ちるわけで。
で、友達が、二十歳くらいになって、「ルージュの伝言、うわあかっこいいなあ」と思ったと言い出し。
昔のハリウッド映画とかフランス映画とかで、あるじゃないですか。
それこそバスルームのミラーに、真っ赤な口紅で、GOOD BYEとかね。
「それにずっと憧れていたわけ。で、自分でもいつかやってやるぞ、と」
「はは、わかるけど。アンタ、それ相当恥ずかしいなあーーーっ」
「恥ずかしいよねえー」
で、当時付き合っていたカレシが浮気をしたらしいと。
「今だっっって思ってねえ・・・。いやもう、浮気されたとかより、今こそチャンスと思って正直ちょっとワクワクしたんだけれども・・・」
ゲランとか、シャネルとか、サンローランの真紅の口紅で「GOOD BYE」。
それはイングリット・バーグマンとか、カトリーヌ・ド・ヌーブの話で・・・。
「その元カレの部屋は、フツーの8畳の部屋でさ。脱衣所なんて砂壁なわけよ。洗面所のとこに鏡はありますよー、でも、なんとか工務店とか書いてあるやつでさー」
・・・うん、あるね、そういうのね。
「で、口紅ったって二十歳くらいでブランドの口紅持ってないわけよ。しかも、そんなまっかかな口紅、誰もつけてなかったじゃない」
・・・・確かに、我々が二十歳の頃、ヌードメイクというより死人色の、ベージュっぽような色にちょっと紫っぽいのが混ざった口紅が自然だってハヤリ、皆持ってた。
無着色たらこをちょっと藤色にした感じで、かつ、粉っぽいようなぺとっとした印象の口紅・・・。
「でもまー、せっかくだから書くかと思って。グッ・・・Gまで書いて。書けやしないわけですよ。あんなうすい色じゃ。さんざん頑張ったけど、口紅なんて普段結構無くならなくて困るけど、字書くとなると、すぐ無くなって。こりゃ困ったなーと思って。・・・ふと、マッキーがあることを思い出して」
「マッキーって何。どんなときもーどんなときもー」
「違うってっっっ。マジックッッ。油性ペンッッッ」
「・・・ア・・・アンタ、そこ、、、賃貸よね・・・」
「賃貸ですよー。古いアパート。で、よっしゃマジックならいけると思ったけど、もうそのへんで疲れて来て」
「冷静になったわけね」
「うん。だって、GOOD BYEなんて、普段言わないし。ちょっとバカみたいだよなーって」
うんうん。
「だから結局、鏡にデッカく、“このバカチンが”って書いて帰った」
金八先生ですか・・・。
・・・・それはアナタ。ルージュの伝言どころか、いやがらせって言うのよ。
しかし、本人は制裁を下したくらいの気分でいたらしく。
「元カレから後で、電話来てすっごいキレてて。こっちもキレてさー。でもすっごい優しいおじいさんが大家さんだって言うから、二人で除光液で拭いて落として・・・いやー、あれは大変だった。結局別れたんだけど・・・」
「けど・・・」
「5年後、アタシがピンチヒッターでジュースの試食販売のバイトしてる時、たまたまスーパーに買い物来てた、同級生のダンナとして登場。いやー、お互い、アセっちゃって、始めましてを5回くらい言い合ってさー。もう緊張して、試食のジュース自分でグビグビ飲んじゃった。売り上げ少ないくせにサンプルばっか減ってるって怒られた」
・・・・・・なんか、話が変わって来たんですけど。