郵便ポストの中を覗くと、一枚のはがきが投函されていた。
最近、コロナ禍以降は郵便物が激減していて珍しく受け取った。通信欄には鮮やかな朝焼けの山の姿がある。
スイスのマッターホルンの朝焼けの写真だ!!!!
悲しい知らせの写真はがき
大阪勤務の頃の同僚が、毎年、正月休みの前後に休暇をとってマッターホルン撮影に出かけていたことを連想した。
文面に目をやると差出人の「性」は同じだが「名」が違う?????
少ない文面に目を移すと「病気療養中の弟○○が2月23日に亡くなった」とある。
お兄さんが、恐らく取り上げの法要が終わって、年賀状リストなどから知り得て知らせてくれたのだろう。
工業系の学校を卒業していた彼は、カメラが好きだったことは知っていた。が、まさかヤマ(マッターホルン)にこれだけ魅入られていたとは、彼が東京勤務になってから知った事である。
逆さマッターホルンの年賀状
東京、福岡に分かれてからは全く会ったことはなく、毎年の年賀状の交換のみであった。
彼の年賀状はマッターホルン、ユングフラウなどのスイスの名峰が通信面を飾ってくれた。
毎年、写真年賀状を待ち遠しくしていたが、来年からは残念ながら期待できない。
手元に残っている彼のマッターホルン年賀状は、昭和63年以来35枚を数える。
もはや、今後期待できない貴重な写真を保存して、時々取り出して、カメラと山に生きた彼の人生を顧みていきたい。
写真を眺めながら、彼のご冥福を祈るばかりである。
彼からの最後の便りとなった今年の年賀状
今年の年賀状は国内の桜である。おそらく去年あたりから病気療養でマッターホルンには行けなかったのだろう。
しかし、数回の個展を開催するほど、カメラ好きの彼らしい素晴らしい写真である。