1月18日から22日に扇町ミュージアムキューブCUBE01で上演された

ミュージカル『へぼ侍』

19日の配信を見ました。


【ステージナタリー】

https://natalie.mu/stage/news/557570


主演の志方練一郎役の翼和希さんは歌が上手くて朝ドラで話題になる前から気になっていました。

ただ昨年8月の初演も観劇しようかどうしようかと迷って行かなかったのでちょっと後悔しています。

結局友人からBlu-rayを借りて見ました。

その初演と比べると、再演は皆さんの役作りが深まったためなのか更に流れが分かりやすくなっているように感じました。


練一郎は官軍の部隊の中で1番年下ですが、実際の翼さんは出演者の中で1番先輩です。

でも翼さん本人の何事にも一途だという元々のキャラクターからなのか17歳という練一郎の良い意味での青臭さが感じられてハマり役だと思いました。

それでいて難波の商人としての練一郎や、最初に登場した時とラストの老成した練一郎との演じ分けが再演では初演より分かりやすくなっていると感じました。


松岡役の天輝(あまき)レオさんとヒロインお鈴役の唯城(ゆしろ)ありすさん。

このお2人は私が今も応援している涼乃あゆさん(2022年にOSKを退団)との初めての共演を覚えています。

まだブルックリンパーラーが無かった頃に、セントラファエロチャペル御堂筋でのRevue Cafe『獅子の星』で天輝さんを見た時には、既にシュッとしたイケメンさんだと思いましたがまだ今ほど男役の色気を感じなかったけれど、今回の松岡役はちょっとアブナイ男感が出ていて良かったです。

因みにその時は唯城さんとせいら純翔(じゅんと)さんも出演されていました。


唯城さんは以前見た時からダンスが上手くて可愛くて将来有望な娘役さんだろうと思っていましたが、夜鷹になっても芯のあるお鈴は似合っていました。

原作では練一郎とお鈴の関係はそれほど深く書かれていなくてもっとあっさりしていると感じましたが、舞台では2人の気持ちの流れなどストーリーを膨らませて見せ場が作られていました。


犬養仙次郎(毅)の壱弥(いちや)ゆうさんは狂言回しでインパクトが強い役ではないけれど、爽やかさがあり歌も上手くてこれからが楽しみな1人ですね。


官軍兵士の沢良木役のせいらさんと三木役の知颯(ちはや)かなでさんは涼乃ちゃんの同期なので勝手に親近感を持っています。

この作品では同じ場面に出てくる事が多かったのですがそれぞれの個性が出ていて良いコンビでした。

ただ三木がなぜ部隊から抜け出すような行動をとったのか説明がなく、原作を読んでいなければストーリーの展開が突然のように感じて分かりづらいと思います。

もっとも上演時間内に収めるのに削らなくてはいけない部分があるのは当然なので、もし博品館で観劇予定の方は原作を読んでおかれたらより舞台を楽しめると思います。

ただしもうあまり日数がありませんが。


それから練一郎達の上官の堀中尉役の南星杜有(みなほしとあ)さんは入団3年目で、部下は皆んな先輩というのが信じられないくらい貫禄があって、この方も今後が楽しみだと思いました。


また個人的に注目したのが入団1年目の奏叶(かなと)はるさん。

お母様が元宝塚の桐さと実さんで、私の1番の推しであるかなめさん(涼風真世さん)の月組での上級生でした。

私は生の舞台は見ていませんが、うたこさん(剣幸さん)がトップの時の初演の『ミー&マイガール』でかなめさんのジャッキーと桐さんのジェラルドの場面のダイジェスト映像は見ています。

昨年8月のアート館の『へぼ侍』の初演が初舞台だそうですが、野菜売りの農民の他、練一郎を襲おうとして逆に鉄砲で撃たれて松岡にとどめを刺される薩摩兵役など初舞台とは思えないほど堂々としていました。

この舞台は全員で12人とは思えないくらいで皆さん大活躍ですが、OSKは宝塚よりもかなり規模が小さい代わりに初舞台からどんどんセリフがある役が回ってくるのでその分鍛えられるのでしょうね。


初演と再演で1番の違いはフィナーレの前にレビューの場面が加えられたことでしょう。

初演を見てOSKには珍しくちゃんとしたミュージカルだ(普通レビュー中心なので)と思いましたが、題材が西南戦争なので全体的に地味に感じます。

朝ドラからOSKに興味を持った方々は華やかなレビューシーンを期待しているし、特に今までOSKに馴染みが薄かった首都圏の方々が初めて観る舞台が『へぼ侍』なのはどうかなと思っていました。

だから時間的には短いけれど、天輝さんを中心としたこれぞ男役という黒燕尾のビシッと決まったダンスや、そこにセットの高い所から登場して階段を使って歌う翼さんという演出が加えられて良かったです。

それに翼さんと唯城さんのデュエットダンスは、舞台が狭いので無理かなと思ったリフトもありでお2人ともダンスが上手いし体幹がしっかりしていて身体のラインが綺麗で見応えがありました。


フィナーレはOSKの定番の"桜咲く国"なので、『ブギウギ』から興味を持った方々も楽しめると思いました。

博品館公演も大成功に終わって、今後もっと首都圏での公演が増えると良いなと思います。

 

ダイジェスト映像

 

 

婦人公論2月号に翼さんのインタビュー記事が載っていますが、昨日ネット版がアップされました。

とても読み応えがある記事です。