ヴァーチャル世界にリアルはあるのか

ヴァーチャル世界にリアルはあるのか

ヴァーチャル世界にリアルを求める。

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第一部

『49』


part 1    ・part 2    ・part 3    ・part 4

part 5    ・part 6    ・part 7    ・part 8


第二部

『2nd life』


プロローグ

part 1    ・part 2    ・part 3    ・part 4    ・part 5    ・part 6


第1章

part 1    ・part 2    ・part 3    ・part 4    ・part 5    ・part 6    ・part 7    ・part 8

part 9    ・part 10   ・part 11    ・part 12    ・part 13   ・part 14    ・part 15   ・part 16   ・part 17

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ボクは、人影を感じる方へ目をやった。
すると、脅えるように何者かがコチラを覗いている。ボクも同じように、パラボナアンテナの裏に隠れるようにして、覗き込む。

様子を伺っていると、二足歩行動物で手が2本・足が2本。そして、目が2つに鼻が1つで口が1つ・・・。まるっきり我々人間と丸っきり同じ外見をしている。これが所謂・・・宇宙人ってヤツか?いやいや、この星にとっては、ボクが宇宙人になるのか。チョット複雑だ。
こういう場合は・・・どうしたらいいのか?そもそも、ボク自身丸腰だし、宇宙船内部にも武器なんてものはない。

どうしよう・・・。

息を潜めて、互いが互いの様子を伺っている・・・。相手は武器を持っているのか・・・?肉弾戦だったら手に持っているスパナで対応できるが、飛び道具出されちゃったら、お手上げ。
そもそも、相手は何人いるんだ?こっちから確認できるのは一人だが・・・。
そういえば・・・メグは何をやっているのだろうか?

ボクは、じっと相手の出方を伺っていると、背後からガチャッと銃の引き金を引く音がした。

「じっとしろ。頭を打ち抜くぞ」

"この星の者"がボクの背後で銃を突きつけて言った。男の声のように低い。

「はい・・・。」

ボクは、両手を挙げて素直に指示に従うしかなかった。
ん?それよりも・・・"この星の者"?バリバリの日本語だったが・・・。どういうことだ?ボクは、両手を挙げたまま尋ねた。

「あの・・・ココは・・・日本ですか?」

「何をわけの分からない事を言っている。それより、どこのモンだ?」

「どこのモンって・・・地球人?」

「貴様、ふざけているのか?」

「いえ、そういうつもりじゃ・・・ボクは、西暦2211年に地球にかわる星を探すために打ち上げられたんです。そして2年半宇宙を彷徨って、ココへたどり着いたんです。」

「2211年だと?・・・そういえば、この宇宙船もかなりの旧式・・・。」

男は、ボクが丸腰である事を確認した後、銃を下ろして、話を続けた。

「アンタ、ホントに2211年からやってきたのか?」

「はい。それより、ここはどこなんですか?」

「ココは、西暦2456年の東京だ。」

「え?東京ですか?ココが?え?え?え?どういうこと?」

銃を突きつけてきた目の前のオッサンは、2456年の東京だと言っている。ボクは、2211年に宇宙探索として打ち上げられたのにもかかわらず、再び地球へ戻ってきただと?
仮にココが地球で、東京だったとしよう。ボクの知っている東京とは大きくかけ離れており、ただの廃れた荒野で、人っ子すら見当たらない。大都会の面影なんてかけらも無い。しかも、西暦2456年ってどういうことなのだろうか?目の前の現実を理解できずにボクは頭を抱えた。

「他に、仲間はいるのか?」

「いいえ、ボクとアンドロイドの2人だけです。」

「そのアンドロイドはどこにいる?」

「おそらく、宇宙船の中だと思いますが、呼びましょうか?」

「ああ、だが、変なマネさせたら、銃で打ち抜くからな」

ボクは、メグを呼んだ。

「これが、23世紀初期のアンドロイドか。動いているアンドロイドは久しぶりに見る。」

ジロジロとメグを興味深々にみるオッサン。それよりも、ボクの疑問に興味持って欲しいんですが・・・。
ビービービービー
けたたましい音が宇宙船内になり、ボクは目を覚ました。

「な、なんだ?なんだ?」

「マスター。どうやら、目的の星に到着するようです。」

ようやく、到着のようだ。長かった。まあ、最後の方は、嫌気がさしてほとんど眠っていたが・・・。出発して2年半。
距離にすると、どうなのだろうか?というか、サンプルを送るといっても、ちゃんと地球に届くのか?

着陸する星・・・。
海が多いのか、まるで地球のように青い。ボクは宇宙服へと着替えて、クロスでシートベルトを締めて、着陸の準備を整えた。

そして、大気圏突入・・・。ものすごい重力加速度と振動がボクの体を襲う。ボクは、あまりにも激しい重力に全身の骨がバキバキに折れるかと思うほど、押さえつけられた。時間にして2~3分だっただろうが、ボクにとっては10分程度と長く感じられた。
そして、気を失う直前にようやく地上3000m程度で安定し、着陸できそうなところを探す。

まあ、実際の操縦は、メグに任せており、ボクは大気チェック装置を手に取り、スイッチを入れる。装置といっても重々しい物ではなく、関数電卓のような小型装置である。
正常に動くのか確認。宇宙船内の大気・・・酸素20%・窒素77%・・・その他3%。うん、地球の大気と近い状態であるこの宇宙船内は、こんなものだろう。

「マスター・・・そろそろ、着陸態勢に入りますので、再度シートベルトを確認してください」

「了解」

ボクは、シートベルトがロックされている事を確認して、OKとメグに伝えると、そのまま、着陸態勢へ入った。
ドガガガガガガ。再び激しい振動がボクの体へ伝わり、宇宙船は滑走路跡地を数百メートル滑りながら止まった。一応この宇宙船にも車輪はついてるとは思うが、この衝撃・・・。

そして、宇宙服に纏ったボクは、大地へと降り立ち、大気のチェックをしようとしたが、実に、重量が重たく感じられた。まあ、長い間宇宙生活していたし、体力も落ち込んでいたのには変わりない。
そして、大気チェックの結果が出る。酸素20.9%・窒素78%・二酸化炭素0.03%・・・非常に地球と酷似している。ボクは、宇宙服のヘルメットと取り外した。2.5年ぶりに感じる自然の風・・・すごく気持ちがいい。
地球と似たこの環境ということは、生物がいる可能性が非常に高い。そもそも、この着陸したココそのものが明らかに人工物である滑走路だった。だが、人っ子一人いない。
まあ、突然現れてもらっても困るが・・・。

ボクは、そこらへんにある石と砂を適当にカプセルに詰め始めた。
これで、ボクの任務は終わりか・・・?

宇宙船に戻り、大気チェックの結果と、周りの風景をカメラに抑えたデータを地球へ送信。
これが届くのと、ボクが地球へ帰るのは一体どちらが先になるのか?
しかし、送信画面から戻らない。送信画面のまま10分程度が経過すると、エラーメッセージが出てきた。
宇宙船備え付けの小型なパラボラアンテナ程度では届かない程、この星は遠いのか?

とりあえず、ボクらは宇宙船を再離陸させて、物陰に隠れるような場所を探して対策を考える事にした。
あまりにも無防備な現在の状況を考えて、万が一、この星の住人に見つかって攻撃されてしまう可能性があったからだ。

そして、滑走路の脇にあった廃墟・・・元空港だろうか?崩れかかっている建物の脇に宇宙船を停めて、パラボラアンテナのチェック。

すると、どこからか人影を感じた。
ボクは、宇宙船の中にいる。
だが、どこへ向かっているのかは分からない。


なぜ、こんなことになったのか?
そう地球時間で2年前・・・ボクは、会社が倒産し、そして自己破産ですべてを失った。
そして、ボクは借金の肩代わりと言う事でカプセル型の宇宙船に乗せられて遠く宇宙へと打ち上げられたのだ。もちろんボクは、すでに戸籍上死んでいる事になっている。

地球の代わりとなる星を探し、移住計画が先進国では盛んに取り組まれている。地球という限られた資源だけでは儲からないのだ。
そのために莫大な国家予算を使って、各国無人宇宙探索機を打ち上げている。もちろん世間では、この宇宙船も無人探索機として報道されているらしいが、真実は違う。
不渡りを出した者の島流し・・・いや、"星流し"と言ったところだろう。
しかし、23世紀のアンドロイド全盛期に生身の人間までも宇宙へ飛ばす理由があるのだろうか?

ボクに与えられた使命は、目的の星に着き次第、着陸地周辺の風景画像や大気分析結果、そして、岩石等のサンプルを地球へ送るのだ。
だが気になるのは、岩石等を地球へ送る用のロケットが宇宙船に5機積んである。まさかボクは、5つもの星を渡り歩かなければならないのだろうか?

宇宙空間は景色が全く変わらないし、ちゃんと前に進んでいるのか・・・?そして、ずっと夜みたいなものだから時間間隔もよく分からない。
一応、宇宙船に備え付けられているデジタル時計のおかげで、日時の認識はあるが、実感は全く無い。

すべてを失った人間が言うのもなんだけども、生きている実感すらない。
一緒に飛び立ったアンドロイドのメグに無理やり生かされている。
いつ着くのか、メグに聞いても「それはお答えできません」の一点張りで、先の見えないゴールにウンザリして、何度か自殺を試みようとしたが、メグに阻止された。
まあ、この宇宙船の中で自殺できるような道具自体が少なく、コッソリとやろうにも、メグに24時間365日ずっと監視されているため、すぐ見つかってしまう。

結局、ボクは、この環境に発狂しては、メグに薬を首から打たれてそのまま1ヶ月眠らされて・・・と、無理やり生かされているのだ。
ボクは、メグに指示を出した。

「目的地に着くまで、薬漬けで眠らせて欲しい。」

「了解しました。」

そう言うと、メグは点滴のような道具を出してきて、そこに鎮痛剤をたっぷりと注ぎ入れて、ボクの腕へ注した。ボクは、すぐさま眠りに就いた。