ある日、兄から相続の相談を持ちかけられた。
私は法定通りでいいんじゃない?と話した。

でもなぜ兄から?と疑問に感じた。


数年前、母方の祖母が亡くなった時母の兄妹間でトラブルがあった。
祖母が残した遺言書には5人兄妹の長男に全ての財産を残す形になっていた。
不公平な相続に母の兄妹は遺留分(遺言で多くの財産を受け取った人に対して請求できる財産)

を請求し、その金額でなんとなく納得したがしこりだけが残った。

そんなこともあり均等に分けるのが1番だと思った。


財産といっても土地と家(築45年)と両親の預金のみ。

兄が実家で同居を始めたので、実家の土地と建物を生前贈与で兄名義に変更したいと言われた。

父から「(実家の土地の)お前の相続分は放棄すれ」と突然言われたのだ。

なぜ?と聞くと、「ここ(実家)には兄が住むからお前の相続分を兄が現金で私に払うのは大変だから」と。

それなら両親が亡くなったら実家を売って法定通り相続すれば?と言ったが父は納得しない。

父は私に一円も残したくないんだと思った。


その後、実家の両親と兄4人で相続の話し合いがあった。

兄から渡された相続の提案書を見て唖然とした。


そこにはどう考えても自分たちの都合のいいような配分になっていたのだ。

まず、母が先に亡くなること前提での財産分与の計算。

土地の評価額も数年前に父が査定してもらった金額のまま。

実家の土地はここ最近上がっているので、あえて低い金額で計算したのだろう。

さらに実家を取り壊す費用、数百万が差し引かれ(意味不明)実家の資産がかなり低い金額で出されていた。


今私が住んでいる土地(祖母から譲り受けた土地)も相続分として計算されていた。

法定通りにすると私の取り分1/4になると数百万の相続になるので(たかが数百万なのに)

それを限りなくゼロにするために色々手を尽くしたのだろう。

母の預金に関しても、この先数十年生きていると前提した生活費が計算されており、

それを引いた金額を贈与する形になっていた。

ただし「預金残高は全て私に贈与する」と書いてあった。

それを記載して少しでも私に納得させたかったのだろう。


そんな破茶滅茶な内容で私は全く納得できなかったが

この場で話し合っても埒があかないのでその提案書を持って実家を後にした。

帰宅してからも悶々とした気分でその夜は眠れなかった。


その数日後、実家に用事があって行った時、遺言書の下書きを発見してしまった。

母は「これを手書きで書けと兄から言われたけど面倒で書いてない」とこぼしてた。

その放置されていた遺言書の下書きの内容を見て唖然とした。


その下書きには先日話し合いで兄が提案したことが書かれていた。

だがそこには1点だけ矛盾している点あがあった。

「母の預金残高は全て長男〇〇へ相続する」と…。

兄は不在だったので父に「この前の提案書の内容と違うけど」と言った途端

「何が違うんだ」と大声を出し逆ギレされた。

提案書に書いてある内容を見せたら「じゃその部分は消せばいいんだろ」と怒り口調で言ってきた。

父も父だが、その提案にのる兄も兄だなと思った。


今までの経緯を母方の親戚に相談した。

やはり父がおかしいと言っていた。

見栄っ張りな性格だから、家や車にお金をかけるもんね、と。

親戚からはそう見えていたらしい。

父のせいで祖母から譲り受けた財産が殆どなくなってる母が不憫だと言っていた。


これ以上関わると精神的に参ってしまうと思った。

もう実家とは縁を切ろうと決意し、それを機に実家に顔を出すのを一切やめた。