22日(土)に富樫雅彦の追悼ライブのために新宿PIT INNに向かった。日本のフリージャズの古参である山下洋輔と佐藤允彦が、一昨年惜しまれながら亡くなった富樫雅彦の楽曲を演奏するという企画。山下洋輔は一般人にも名前を知られている有名人だが、個人的には佐藤允彦の演奏に興味があった。というのは、彼が富樫と一緒に制作したリーダーアルバム「パラジウム」が自分はとても好きで、今回山下洋輔との比較の中で彼の演奏が聴けるというのが、とても楽しみだったのだ。20:00前に会場に到着すると、既に人だかり。予約をしてこなかったことを後悔したが、何とか滑り込む。周囲の人間は、山下・佐藤と同世代がほとんどで、あとは若者の姿がちらほら見える程度。自分も日本のフリージャズに興味を持ったのはここ数年という若輩者なので、今回は大先輩たちの胸を借りるようなアウェーのような気分で会場の空気に浸っていた。まず、のっけに佐藤の挨拶。控えめなトーンの中に時折ユーモアを織り交ぜながら富樫の人柄や思い出に触れる。初老の大学教授のような佇まい。そして、山下の演奏が開始。今回取り上げた富樫の曲はメロディアスな主題後にフリー空間に入るやいなや突如疾走するような展開が多い。そして、山下のフリーはいつものように体全体をダイナミックに使いながら激しい。いつもは知的で温和な印象のあるベースの水谷も山下の演奏に共鳴するかのように激しい演奏で、普段あまり見れない姿に少々驚く。後半戦は、いよいよ佐藤御大が登場。佐藤の演奏のカラダの姿勢は山下と違い静的で無駄がない。けれども、けっして激しさがないのではなく非常にアクティブである。佐藤の静的な演奏姿勢には、うごめくパワーが制御され結果として静止しているような力強さがある。東大寺の仁王像は静止しているのに目に見えない力強いエネルギーの流れが均衡しているかの如き印象を人に与えるが、佐藤の演奏姿勢も同じような印象を受ける。静的なのに力強い。日本の偉大なる2大ピアノレジェンドのピアノを堪能できた素晴らしい夜だった。