今回は著作財産権の一つ
『複製権』について
超重要です。
2つめの関門、「著作者の権利を侵害する使用方法か?」の判断基準の一つです。
著作権法第21条(複製権)
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
たった22文字。
2項もありません。
でもこの22文字には超強力な権利が定められています。
『©』
誰でも一度はこのマークを見たことがあるでしょう。
コピーライトといい、著作物の著作者が誰かを表示するときに使います。
コピーライト・・・
コピー(複製)・・・
そう!
複製権は著作権の核心的な権利なのです。
『著作者だけが著作物を複製できる』
『著作者以外が著作物を複製すると著作権侵害』
では、そもそも『複製』とはなにをすることなのでしょう。
【複製とは】
コピーすること、書き写すこと、模写すること、ダウンロードすること、アップロードすること、写真に撮ること、コピペすること・・・
⇧ぜーんぶ複製!
これも複製
(ネット上に複製しているので)
©丸井ひさ子
これも複製
©丸井ひさ子
これも複製
©任天堂様『あつまれ どうぶつの森』
©TYPE-MOON様『Fate/hollow ataraxia』『カプセルさーばんと』
©オカジー
同一性保持権の記事の判例も複製権侵害でもある
(写真を複製したものを加工しているので)
(三枝国際特許事務所様の記事より引用)
断言してもいい
他人の著作物を利用するとき、必ず何らかの形で複製しています。
『著作者だけが著作物を複製できる』
『著作者以外が著作物を複製すると著作権侵害』
つまり、他人の著作物を利用するとき、複製権を侵害している可能性が非常に高いことは覚えておいてください。
【ここからちょっと難しい話】
複製の定義はかなり広い
裁判所のいう複製の定義は、
『著作物の本質的特徴を有形的に再製すること』
©丸井ひさ子
Q.人はどんなときに『似ている』と感じる?
A.著作物の特徴を再現していたなら似ていると感じる
例えば
©丸井ひさ子
⇧このオカジスタンプ(似顔絵)が
©山本祥司氏
オカジ現物に似てる!と思っていただけたなら、
オカジスタンプはオカジ現物の特徴を再現できているということ(目、輪郭、髪型、眉毛の形などなど・・)
裁判所のいう複製の定義は、
『著作物の本質的特徴を有形的に再製すること』
簡単に言い換えると
『著作物に似てる物は複製物』
と考えていただいて構わないでしょう。
(このくらいの意識の方が良い)
【知っておいてほしい判例:みずみずしいスイカ事件】
(三枝国際特許事務所様の記事より引用)
左のスイカの写真の著作者が右のスイカの写真の撮影者を訴えた事件で、原告が勝ちました。
当時、被写体や構図を真似しても別の写真なら別の著作物という考えが主流だったらしく、被告がそのことを主張したところ裁判長に一蹴されたというエピソードのある判例です。
この判例では2枚の写真を比較し、スイカの切り方、置き方、背景の色等を総合的に考え、原告の写真を参考に撮影しなければここまで似ることはない、と被告写真が原告著作物に依拠して撮影されたことを認めました。
【おつカレンちゃーん画像について検討】
©任天堂様『あつまれ どうぶつの森』
©TYPE-MOON様『Fate/hollow ataraxia』『カプセルさーばんと』
©オカジー
オカジーがあつ森で作ったおつカレンちゃーん画像。
©TYPE-MOON カプセルさーばんと より引用
このベイビィカレンをあつ森で再現しました。
・美しすぎる白のウェーブヘアー
・黄色いロンパース
・おしゃぶり
・可憐な黄色い瞳
・帽子の形(ピエロの帽子)
・カプさばでベイビィカレンが勝ったときのセリフ「おつカレンちゃーん」
著作権侵害で紛争なったら、双方の特徴の共通点を探して判断します。
おつカレンちゃーん画像は、ベイビィカレンのこれだけの特徴を再現しているので、ベイビィカレンに依拠した著作物であると考えられます。
カレーを持たせた点にオカジーの創作性が表れているので、おつカレンちゃーん画像はベイビィカレンの二次的著作物でしょう。
まず、ベイビィカレンをあつ森で作った時点で、原著作物であるベイビィカレンを複製していると考えます。(著作権法第30条)
次にベイビィカレンを複製した『おつカレンちゃーん画像』をこのブログに載せた時点で、原著作物であるベイビィカレンを複製しています。(TYPE-MOON コピーライト)
更にあつ森の画像をブログに載せているので、あつ森の著作権者である任天堂様の複製権を侵害します。(ネットワークシステムにおける任天堂の著作物に関するガイドライン)
詳しくはこちらの参照
かなり長くなりましたが、要は
複製してなくても複製に当たることも多い
ということです。
それではっ