「鉢の木」

能や謡曲などにある、北条時頼の廻国伝説伝説である。

物語はいたってシンプルで短編

ある雪の降りしきる極寒の日

一人の僧侶が、落ちぶれた武士:佐野常世の家に一夜の宿を借りる。

常世はその僧侶に対し、粟飯を差し出す。

さらに、凍える僧侶に暖を与えるために

なんと!

わざわざ大事にしていた鉢の木を焚いたのだ。

常世は僧侶にこう語る。

「今はこのように落ちぶれてはいるが、決して武士の意地を忘れてはいない。

いざ鎌倉というときには、老体に鞭打ってでも一番駆けをする。」

と。

間もなくして幕府は、諸国の大名小名に鎌倉参集を命ずる。

すると

破れた具足を身につけた常世。

老いぼれた馬にまたがって真っ先に鎌倉に駆けつけたのだ。

実は、寒さの中に常世を訪ねた僧侶こそ

北条時頼だったのだ。

時頼は、駆けつけた常世を、まことの武士とたたえ、所領を安堵したのだった。



「いざ鎌倉」

の語源でもあるこの物語。

北条時頼は、庶民の苦しみを身をもって知るため

自ら廻国したと言う伝説である。

それに引き換え今の“政治屋”はどうだ!

自らは安全な場所に身を置きながら

集団的自衛権で戦地に派遣されるを断った自衛官は死刑とか

「血を流せ」とか

未だに放射能垂れ流しで故郷を失った福島県民に対して

「最後は金目でしょ」

と、“暴言”を吐き、自らは一度も福島に行かない大臣。

命を懸けて政治を行おうとする姿は皆無だ。

“濁悪”ここに極まった感は否めない。


しかし!

だからこそ夜明けが近いと確信する日々である。

260717