瀬々敬久監督の新作
64ロクヨン - 前編
を一足早く試写会にて観て来ました。
佐藤浩市
綾野剛
榮倉奈々
夏川結衣
窪田正孝
坂口健太郎
筒井道隆
鶴田真由
赤井英和
小澤征悦
芳根京子
烏丸せつこ
黒川芽以
滝藤賢一
椎名桔平
仲村トオル
奥田瑛二
吉岡秀隆
瑛太
三浦友和
永瀬正敏
（ 敬称略 ）
など
日本映画のメジャー作でも
これほどの豪華な俳優陣が並ぶ大作は久しくありませんでした。
それが例え小さい役で出番がどんなに短くとも
その各々にきちんと印象を残す瀬々敬久監督の的確な演出が光ります。
平成に年号が変わる間の７日間で幕を閉じた
昭和６４年に起こったロクヨンと呼ばれる
未解決少女身代金誘拐殺人事件をレールに敷き
当時捜査課の担当刑事だった三上（ 佐藤浩市 ）が
１４年後に県警の広報官となって
ロクヨン事件の時効を翌年に迎える背景を軸に
事件に関わった様々な人物たちの人間模様を描く
どっしりと見応えのある力作になりました。
未読ですが、傑作と言われている
横山秀夫氏による小説を映画化すると云う
付き物の原作と映画の対比論争も今後必ず付随して来る筈ですが、
本作を観る限り日本映画のメジャー大作としては、
近年稀に見る仕上がりだと思います。
警察の広報官という目新しい視点から事件を追うストーリーで
シネマスコープのワイドスクリーンに
フィルムによる銀残し風撮影の憂いに満ちた映像表現や
この前篇でしっかり一本の映画として成り立たせながら
次回の後編を直ぐに観たいと思わせる構成の妙に
これだけの面子を従えながらも
しっかり主演の役割を担う
佐藤浩市さんの間違いなく代表作となり
瑛太さんが演技派への新境地を開き
永瀬正敏さんの円熟味を更に深めるなど
見どころを多く兼ね備えた作品です。
そして最後に小田和正さんの
「 風が止んだ 」が見事に本編とシンクロします。
前後篇で製作される昨今流行りの日本映画については、
後編の方が前編より劣ると云う不名誉な風潮を
本作が是が非でも打ち砕き
映画史の残る作品になってもらいたいと切に願うばかりです。
