1975年に制作されるはずだった
アレハンドロ・ホドロフスキー監督による
SF大作「 DUNE 」が
なぜ未完になったかを紐解くドキュメンタリーです。
ホドロフスキーの DUNE
JODOROWSKY'S DUNE
を観て来ました。
特撮 ダン・オバノン
セットデザイン H・R・ギーガー
クリーチャー&キャラクターデザインメビウス
音楽 ピンク・フロイド/マグマ
これだけ聞いてもSF映画ファンには垂涎ものなのに
配役が、
皇帝役に サルバドール・ダリ
ハルコンネン役に オーソン・ウェルズ
フェイド・ラウサ役(多分 )に ミック・ジャガー
と云う本来ならあり得ない異色のキャスティングなれど
実際にその3人に出演を承諾させたエピソードには呆気にとられました。
85歳にして映画少年そのままに意気揚々と喋りまくる
ホドロフスキー 監督自らの証言や
「 スター・ウォーズ 」のプロデューサーであるゲイリー・カッツまで登場したのに驚き
その他製作に携わった関係者や
ホドロフスキー崇拝者 ニコラス・ウィンディング・レフン監督などが明かす
そのエピソードの数々は、映画通を唸らせるものばかりです。
ニコラス・ウィンディング・レフン監督が自身の作品である
「 オンリー・ゴッド 」のエンドロールに
「 ホドロフスキーに捧ぐ 」と明示した理由が良く分かりました。
SF映画ファンなら知らぬ人はいない造形作家H・R・ギーガーの
初めての映画の仕事が本当ならこの「 DUNE 」のはずだったのですね。
在りし日のダン・オバノン氏とH・R・キーガー氏
今年の5月に亡くなってしまったH・R・ギーガーを
ホドロフスキーに紹介したのがダン・オバノン
… と、云うことは、
この「 DUNE 」の企画なくして
リドリー・スコットのあの「 エイリアン 」は、誕生しなかった訳です。
また、スタッフに名前が上がった特撮の大御所ダグラス・トランブルに対し
” 精神の深みがない ”と参加を拒否してオバノンを選んだと云うエピソードには、
笑っていいのか悪いのか… カルトの巨匠ホドロフスキーならではの解釈なのでしょう。
その絵コンテ中心の分厚い「 DUNE 」の企画書。
それをディズニー、ワーナー、20世紀FOXなどの
ハリウッドのメジャー製作プロダクションに持ち込みます。
どこも素晴らしい完璧な企画だと認めながらも
ことごとく監督がホドロフスキーではダメだと断られます。
※閲覧注意!!~奇抜な作品です...
エル・トポ 予告編
※閲覧注意!!~奇抜な作品です...
ホーリー・マウンテン予告編( オリジナル版 )
多分、常識人の方たちには受け入れられない超カルトな過去作をして
ハリウッドの大手が「うん」と言わない事情も分かりはしますが、
もしホドロフスキーの「 DUNE 」が陽の目をみていたら
今日のSF映画にどんな変化が起こっていたのか知りたかった気もします。
しかし、その企画書の内容だけでも
スター・ウォーズ
エイリアン
フラッシュ・ゴードン
レイダース 失われた聖櫃
コンタクト
プロメテウス にもたらした事実の
絵コンテと映像による検証は目からウロコでした。
後に大物製作者ディノ・デ・ラウレンティスの指示のもと
その娘のプロデューサーであるラファエラ・デ・ラウレンティスが
企画を横からさらって行き…
かの デヴィッド・リンチの
「 デューン 砂の惑星 」が作られた訳ですが、
その公開時、初めは倒れんばかりに意気消沈して映画館に観に行ったホドロフスキーが
その不出来さにみるみる元気を取り戻し歓喜する件が笑えて仕方ありませんでした。
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若干香るハッタリ的なオモシロさも含め
1970年代からのSF映画に傾倒した
つまり “ スター・ウォーズ世代 ” の映画ファンには
ワクワクする珠玉のエピソードが満載で見応えのある
まさしく映画のためのドキュメンタリーです。
さて、先週末から公開されている
アレハンドロ・ホドロフスキー監督による23年ぶりの新作
「 リアリティのダンス 」ですが ...
その予告編を見ても直ぐに本編を観に行きたい ... とはならないのも
ホドロフスキー作品の特性なのだと思います。