無駄を省くという言葉がよく出回っているかと思います。

『○×の経費を削減したら無駄が省ける』

とか

『△□の高給をカットしたらその分税金が浮く』


こういう話です。


コレが実は
国家の「政府」部門の話になってくると
景気の状態で全く違った・・というより180度違う効果を生んでしまうのです。

*(国家を構成する5つの部門のお話は「国家の部門を理解する 」にて
説明させて頂いております。)


家計やら企業感覚(地方自治体も含む)だと、ある部分を節約してそれを適正な支出に縮小して浮いた部分を他の部分に使用するという事はまぁ仕方が無い現象だと思うのです。

しかし「世間の通貨の総量をコントロールする」部門である「政府」がソレをやっていいのはインフレが過度になって世間に出回っているカネを回収すべき時です。


*(インフレとデフレのお話は「景気の状態を知る 」にてお話させて頂いております。)


過度のインフレ時期はウチでおなじみ『量』で見ると

モノ≪カネ

になってますので政府は出費を抑える事を実行し、税収面で見ても必然的に景気も過熱している(バブルなど)ので高収益を上げた企業などの法人税が累進課税制度により自動的に高額になっており(所得税も同じ)、自動的に世間に増えすぎたカネを回収する仕組みになってます。

この時は「政府の出費を抑える」等、上記の無駄を省く事なんかもとても
有効なので実行すればよいでしょう。

こうして適性なカネの量に戻す事が過度なインフレ時期には求められます。



さて、デフレ時期です。まさに今現在の日本の状況ですね。


ここで上記の事をやると世間のモノとカネの『量』が

モノ>カネ

なのに更に世間からカネを少なくしてしまう結果になるのですね。
法人税は累進課税方式なので自動的に収益が低かった企業からの納税も抑えられます(所得税も同じ)よく出来た税方式ですこれも後日お話します。


家計感覚から見たら政府の無駄遣いに思える事柄・・例えば昨今話題の公務員の
給与問題とかですね。

あれは政府の支出の一つです、このデフレ時期に縮小してしまうと更に世間に流れる筈のカネが減少してしまいます。

それでも『もうどうしても減少させたい』なら。減らした分に更に上乗せして他で支出
するぐらいしないと駄目です。

そうすれば世間にお金が流れる『蛇口が代わっただけ』で、更に上乗せするという事はその蛇口をより開放する事になりますからね。

で今の政府はこういった「減らす」政策は躍起になってやるのですが(事業仕分けもそう)「増やす」政策が殆ど無実行なままなので問題なのです。

増やす」算段が無いウチに「減らす」政策をしちゃったらそりゃあ世間のカネが
ドンドン減って

モノ≫カネが悪化しデフレが加速する訳ですね。

だったらやっちゃ駄目なんです。
ようするにこれを『緊縮財政』と呼ぶのです。


民主党に政権交代して「無駄を省く」「事業仕分け」を実行してから消費者物価指数が一気に下がったのはもう当然の結果だった訳ですね。因みに円高も加速しましたね。
勿論デフレも悪化しました。
そりゃあ世間からカネを抜いちゃった訳ですから。

(とりわけ自分は自民党支持でも民主党支持でも無いです。政策が良ければどちらでも応援します。)


ちなみに大阪市のバス運転手の給与カットは地方自治体という通貨発行権を持たず、通貨の総量のコントロールに責任を持たない団体の経営に関する事なので致し方無いかと思います。

ただ、これらの話も結局デフレを脱却すれば解決するのですがね。。



今日のまとめと致しましては

「政府部門の経済政策は景気の状態によって真逆になる。」

という事をご理解頂ければと思います。




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