お知らせが遅くなり、申し訳ありません。

今月、2025年3月の例会は、会場の都合により、いつもの第3木曜日ではなく、来週、第4木曜日の27日になります。

内容は、フランスのロマン派オペラの傑作、グノー作曲『ロメオとジュリエット』です。

会場は、東横線「元住吉」下車、川崎市国際交流センター、大ホールです。

開場は13時05分、開演13時25分、終了予定17時。

鑑賞は、年12回6000円の会員になっていただくか、

1回鑑賞券1200円、のいずれか。

どちらも、当日、会場にて受け付けますので、

開場時間までに、お出かけください。

以下は、当日も上演前に解説をしてくださる音楽評論家、竹内貴久雄さんの

演目紹介文です。

§ 「グランド・オペラ様式」全盛のパリに花開いた文芸物オペラ・ブーム

 先月は、ベルリオーズの『ファウストの劫罰』を鑑賞しました。ゲーテの『ファウスト』から生まれた音楽としては、ベルリオーズと同じフランスから、シャルル・グノーの『ファウスト』も生まれています。その全5幕から成るオペラは、1859年の初演以来、大好評を得て、今でも盛んに上演されています。グノーの『ファウスト』は、ロッシーニの最後のオペラ『ウィリアム・テル』以来パリで流行した「グランド・オペラ」の様式に属するもので、セリフまじりの「オペラ・コミーク」様式とは異なる大がかりなオペラとして、19世紀後半のフランス・オペラのひとつの典型を表すものでした。
 グランド・オペラでは、しっかりとした台本がヒット作を生む重要要素で会ったことからか、同時期にフランスで活躍した作曲家トマからも、同じくゲーテの原作を下敷きにしたオペラ『ミニヨン』が生まれて大ヒット。余勢を買って次にはイギリスの文豪シェイクスピアの原作による『ハムレット』がオペラ化されていますが、同じ頃にグノーがシェイクスピアの原作をオペラ化したのが、今月採り上げる『ロミオとジュリエット』です。トマの『ハムレット』が1868年、グノーの『ロミオと~』が1867年と、相前後しての初演でした。

§多くの作曲家に大人気だった「ロミオとジュリエット」の悲劇

 『ロミオとジュリエット』も多くの作曲家の創作欲を刺激したものか、たくさんの音楽作品を生んでいます。ベルリオーズ『劇的交響曲 ロミオとジュリエット』、チャイコフスキー『幻想序曲 ロミオとジュリエット』、プロコフィエフ『バレエ曲 ロミオとジュリエット』などが特に有名ですが、さすがに、オペラ化されたもので知られているのは、グノー作品くらいです。ただ、オペラ演出家として名高いフランコ・ゼフィレッリをはじめ多くの映画監督が『ロミオとジュリエット』を映画化しています。それほどに、魅力ある、普遍的な恋愛ストーリーなのでしょう。シェイクスピア劇は、ヴェルディが『マクベス』『オテロ』『ファルスタッフ』と、いくつも採り上げていますが、『ロミオとジュリエット』には手を付けていません。若い男女の恋愛は、ヴェルディの得意分野ではなかったのでしょうか?
 グノーのオペラ版『ロミオとジュリエット』(フランス語では『ロメオと~』となりますが)は、『ファウスト』ほどには上演される機会の多い作品ではありません。その理由のひとつが、『ファウスト』に比べて、原作のストーリー展開を大切にしすぎたせいなのか、3時間近い上演の大作になってしまったということにあるかも知れません。けれども、全編がセリフで寸断されることなく音楽で通されるグランド・オペラ様式となっていることもあって、随所にフランス・オペラらしい優美な響きが聴かれるのが魅力の物語ともなっています。その珍しい上演映像をご覧いただきます。
 今月は「誰でもストーリーだけは知っている」というオペラです。ぜひ、お楽しみに!

■なお、来月の例会も、第4木曜日の「4月24日」となりますので、ご注意ください。