先月、今月と何やかやと上京していた彼。

 

そんな或る日、合間ができた。

時間を持て余す彼。

ふと、思い立ち、劇場を飛び出した。

電車を乗り継ぐ彼。

彼に乗り継がれる電車。

 

目的は、東京スカイツリー、だとか。

 

到着。

見上げる彼は、呟いた。

「まだ出来てないんや…」と。

 

完成してると思っていた彼。

いやはや…。

 

しかし、今の高さのスカイツリーは

もう二度と見るコトが出来ない、と思えば

中々価値のあるモノを見たのでは…?

 

しかし、あれで未完成とは、

どれだけでかくなるのか。

東京タワーはどんな気持ちなんだろう…?

  

とぼとぼと帰る彼。

地にはスカイツリーの影。

影の上を歩んでいく。

まるでツリーを上っているかの様に…。

 

 

ひとりぼっちの東京タワー

時代遅れの東京タワー

その姿は本当格好良くて

俺も東京タワーみたいになりたいなぁって

思った