幸せそうな恋人同士がいた。

どちらも笑顔で語りかける。

そんな幸せそうな恋人同士がいた。

遠い昔のコト。

 

2人は結婚を約束していた。

しかし、彼氏は彼女に秘密があった。

それは重度の蕎麦アレルギー。

そんなコトか、とは一蹴できない。

何故なら彼女の家はお蕎麦屋さん。

代々続くお蕎麦屋さん。

だから彼氏は隠している。

だから彼氏は悩んでいる。

 

彼女の家に招かれた時も

『お腹いっぱいだ』、『お腹が痛い』等と

誤魔化し、蕎麦を食べずにきた。

 

そんな或る日、2人はいつもの様に

唇を重ねた。

すると見る見る彼氏に発疹が…。

苦しみ出す…。

彼女は蕎麦を食べた後だったのだ。

驚く彼女。

 

彼氏は苦しんだ。

アレルギーにではなく

アレルギーがバレてしまったコトに…。

 

彼女の父は言った。

爐修鵑陛曚箸亙未譴覆気ぁ

犇焦?鮨えない奴と付き合うな!

彼女はひどく落ち込んだ。

 

彼氏もひどく落ち込んだ。

彼女を悩ませたくない。

 

彼氏は、思い切って蕎麦を啜ってみた。

案の定、呼吸困難になり、

病院に運ばれた。

 

意識を取り戻した彼氏は

彼女から身を引くことを決意した…。

何も告げずに街を去った。

12月31日のコト。

  

彼女は悲しんだ。

涙がしとしと止まらなかった。

彼氏を探し回ったが、  

2人は、再び巡り会うコトはなかった…。

 

ただ彼氏は、毎年その日に

何処かのお蕎麦屋さんに入り

蕎麦を頼んでは、口にするコトなく、

ジーっと眺めているそうだ。

ただジーっと…。

 

この話が基で大晦日には

蕎麦を食べるようになったそうです。

  

  

ウソ納め。 

 

 

今年も色々有り難う御座いました。

来年も宜しゅうお願いします。

  

良いお年を!

  

  

愛することを許されたとき

僕らは立った

歩きだした