大好きなあの子が風邪を引いた。

大丈夫かな…? 僕は不安顔。

 

「お前、家近いだろ?

 このプリント持って行ってくれ!」

 

ちゃんと先生に面倒臭そうな顔出来たかな?

嬉しいのがバレてないかな?

 

僕はあの子の家に行った。

走ってきたのがバレない様に

家の前で深呼吸をした。

 

ピンポーン!

 

あの子が出てきた。

本人が出てくるとは思わずに、驚いた。

『大丈夫か?』

ぶっきら棒に僕は問う。

「うん、もう大分マシになった…」

彼女は答える。

『先生に持って行けって言われたから!』

僕は面倒臭そうにプリントを出した。

「有り難う」

あの子はプリントを受け取った。

 

!?

 

手が触れ合った。

 

僕は下を向いた。

真っ赤な顔がバレない様に下を向いた。

だから、あの子も真っ赤な顔をしてるのを

気付かなかった。

 

「じゃ!有り難うね!」

 

あの子は家に入っていった。

 

僕は顔を上げた。

 

目の前のトンボが真っ赤だった。

周りの木の葉も真っ赤だった。

沈んでいく太陽も真っ赤だった。

2人の間の糸も…。

 

皆、照れて真っ赤だった。

 

遥か遠く離れた所で

1人の異国人が呟いた。

《地球は青かった。

 ん?あの辺だけ赤いな…》

 

そんな秋。

彼は年明けにあるプラン9の公演の

チラシの打合せに出掛けた。 

久方振りの彼の作品、だとか。

やっと出番が回ってきて嬉しそう。

楽しみに待っていてやって下さい。

 

と、その前に。

【ローズ 5/10  気高き薔薇の宴】

11月30日 よしもとプリンスシアター(品川)

12月6日   京橋花月

興味のある方、観に行ってやって下さい。

 

 

静かな波だ なんて鳥だろ?

肩にもたれるエロエロヴィーナス