サーフィンを始めた男がいた。

色白のひょろっとした優男。

どう見ても向いてなさそう。

そんな男がサーフィンを始めた。

片想いの子がサーフィンが好きだから。

ただそれだけの理由で男は始めた。

毎日毎日、海に出掛けた。

毎日毎日、板を持って…。

いつの間にか白かった肌も小麦色に。

しかし、上手く波には乗れなかった。

  

気付けば意中の彼女より、

波に乗ることに夢中になった。

プロを目指しだした。

  

四六時中、波に乗った。

彼女のコトも忘れ、波に乗った。

  

しかし、プロにはなれなかった。

夢は破れ、ビリビリに…。

男はずっとアマのまま。

  

砂浜には日焼けで剥けた皮が落ちていた…。

アマの男の皮が落ちていた…。

  

アマの皮。あまのかわ。

  

アマの皮の向こうには彼女が立っていた。

アマの皮の向こうで彼女が微笑んでいた。

  

アマの皮を隔てて、2人は微笑みあった。

7月7日の夕べ。

  

  

口笛吹いて歩こう 肩落としてる友よ

いろんな事があるけど 空には星が綺麗