13日の金曜日。

アリスとジャックはデートを終え、

車を走らせていた。

空に穴が開いた様に月が輝いていた。

  

しかし数分後、突然の豪雨。

視界も悪く、危険な為、

国道の傍らに在るモーテルに入る2人。

寂れたモーテル…。

受付には生気の無いお爺さん…。

不気味に思った2人だが泊まることに…。

  

案内された部屋は“13”号室。

ダブルベッドが一つあるだけの部屋。

ひび割れた窓ガラスからはすきま風。

壁のシミが苦しみ歪んだ男の顔にも見える。

  

《気味悪いわね…》

アリスが呟く。

 

〈あぁ、雨がマシになったら出て行こうか…〉

そう言うと、ジャックはおもむろに

ベッドに横になった。

  

《しかしよく降るわね…》

〈……〉

  

ジャックからの返答は無い。

運転に疲れたのか、眠ってしまったようだ。

  

《フフ…今日はありがと…》

微笑ながらジャックの頬に唇をつけるアリス。

  

ピピ!ピピ!

 

突然、部屋の時計のアラームが鳴る。

アリス、驚きながら音のする方向へ視線を。

【0:44】

  

直ぐに視線を外しバスルームに入るアリス。

恐怖を洗い流そうとでも思っているのか…。

  

シャワーを浴びるアリス。

  

数分後…。

  

《きゃぁぁぁぁぁ!!!》

  

バスルームからアリスの叫び声。

飛び起きるジャック。

  

急いで悲鳴の元へ。

  

〈!?〉

  

絶句のジャック。

赤茶色に濁った血にまみれたアリスが

倒れていた。

  

〈アリス!〉

アリスを抱きかかえるジャック。

アリスの血がジャックの体を染める。

気にせずジャックは抱き締める。

アリスの血がジャックの口に流れ込む。

  

〈!?甘い…〉

  

《ハッピーバレンタイン!》

  

笑顔で飛び起きるアリス。

  

  

今日、沢山の恋が生まれてますように…。