ひょっこり顔を出す。

暫く辺りを見回す。

「異常なし!」

そして僕は顔を引っ込める。

この繰り返し。

  

僕はずっとこれを繰り返している。

雨の日も。

晴れの日も。

誰も気にしちゃいないだろうけど…。

僕はこれを繰り返す。

  

いつものように顔を出す。

「!?」

物凄い数の視線に驚く。

皆が僕を見ている。

皆が僕に歓声を上げる。

気付けば定期的にこの時は来る。

山頂から。

堤防から。

皆が僕に手を合わせる。

何だか照れる…。

僕は海面に映った僕を見た。

恥ずかしくて真っ赤っ赤。

早く海に戻りたい。

  

そんな僕に皆は願い事をする。

そんな僕に皆は今の決意を告げる。

叶えばイイのになぁ、僕は何だか嬉しくなる。

  

暫くすると皆は去って行った…。

  

「異常なし!」

いや…。

「少しだけ嬉しい異常あり…」

僕はソーっと顔を引っ込める。

次に皆が集まってくれるのは何時だろう…?

  

僕と交代で遅番の方が現れる。

「ん?」

何だかとってもシャクレていた。

  

   

明けました。

おめでとう御座います。

本年も彼を宜しくお願いします。

皆さんにとって良い年でありますように。