過日、彼は車に揺られて南へ向かった。

大阪、ほぼ和歌山付近に在るみさき公園での余興の為らしい。

お盆前、故に道路は渋滞。

しかもクーラーの効きが弱くサウナ状態。

幾人かがサウナと勘違いし、バスタオル姿で入ってきたとか、来なかったとか…。

 

開演ギリギリに到着。

なだぎ氏が笑顔でお出迎え。

そう、なだぎ氏は現在みさき公園のキャンペーンボーイに任命されている。

そのポスターがみさき公園中に貼られていた。

 

舞台に向かう彼等。

猛暑に拘らず沢山のお客さんに来ていただいた。

ネタとじゃんけん大会をし、終了。

 

ネタを終えたが、楽屋に戻らない彼。

どうやら甥っ子と待ち合わせをしているんだとか。

電話では数回会話はしたが、会うのは10年以上振り。

甥っ子がまだ3~4歳の頃。

勿論、現在の顔など分からない。

すると彼の元に一人の少年が近付いてくる。

 

『おう!久しぶり!』

 

彼に声をかける少年。

 

「○○?」

 

名前を口にする彼。

 

頷く少年。

 

余りの変わりように吃驚する彼。

暫し、覚束無い会話が続く。

 

お~い!久馬 vs 甥!久馬

 

数分の会話後、彼は母親に用事があったので甥っ子に手紙を託した。

 

「これオカンに渡しといて」と彼。

 

『お母さんに?』

 

「ん?あ、お婆ちゃんや…」

 

『うん、分かった!』

 

初めて母親を《お婆ちゃん》と言った彼。

何だか変な気分だったそうだ…。