過日、彼は夜からの仕事なのに何故か昼間に外出。

何処へ行くのかと思えば、予想だにしなかった場所。大阪地方裁判所。

その重々しい建物に彼は、何の躊躇も無く入っていく。

何かとんでもないコトでもやらかしたのかとドキドキ…。ドキドキ…。

 

入口でファイルに目を通す彼。

そこにはその日に行われる裁判がぎっしりと書かれている。

 

成る程。以前彼は、浅越氏から裁判の傍聴に行った時の話を聞いていた。

それで興味を持ったのか、どうやら傍聴に訪れたようだ。

 

彼が選んだのは窃盗の裁判。

傍聴席に着く彼。間もなく弁護人、検察官、裁判長、そして被告人等が入ってきた。

裁判が始まった。

 

どうやら被告人は窃盗の常習のよう。

しかし、ドラマや映画等で観る光景とは少し違い、大阪弁で進んでいく。

何だかもっちゃりした雰囲気。

 

『被告人、前へ』と裁判長。

 

立ち上がる被告人。ふと傍聴席に目をやる被告人。

彼を見る被告人。彼を二度見する被告人。

どうやら彼に気付いたらしい。

何故芸人が裁判所に…?しかも俺の裁判に…?と、不思議顔の被告人。

 

それでも裁判は続く。

矢張り彼のコトが気になるのかチラチラ傍聴席に目をやる被告人。

 

『落ち着きなさい!』

 

裁判長に叱られる被告人。

居づらくなった彼は、退廷。

 

流石の窃盗の常習犯も裁判長の目は盗めなかったようだ。

 

 

正しい道だけを選んで 選んでるうちに日が暮れて

立ち止まったまま動かない 結局何にもやらないなら

有罪 重罪