ジリリリリリ…
非常ベルかと思いきや、彼がセットした目覚まし時計。時は6時。
こんな早朝から何処へ?
そんな疑問も気にせず出掛ける準備をする彼。
新幹線に揺られるコト、およそ2時間半。
江戸。浅草。
どうやら新しく出来た浅草花月に出演するらしい。
浅草花月は寄席小屋という感じのとても雰囲気の良い劇場だった。
平日の昼間にも拘らず沢山のお客さんが観に来てくれていた。
1回目の舞台を無事に終えた彼。
2回目の舞台まで暫く時間があるので、浅草を徘徊する彼。
浅草寺。雷門。花やしき。
暫く徘徊し、1件の建物に入る彼。【東洋館】
演芸場である。
チケットを買い、劇場に入る彼。
既に開演しているのか、扉の隙間からはお客さんの笑い声が。
扉を開けると満員。何処の演芸場も一杯のようだ。
舞台上には、結成間もないであろう若手の漫才師が2人。
お客さんは殆ど年配の方々。しかし、しっかり笑かしている。大したもんだ。
次から次へと漫才師や漫談家、そして奇術師等が出てくる。
皆、全身全霊で笑かしにかかる。素敵だ…。
時間の都合で最後まで観れなかったのが惜しまれる。
入場の際に貰った東洋館のプログラムを見ながら浅草花月へ戻る彼。
プログラムには出演者の名前と、“コント”や“漫才”、“奇術”などその出演者の
演芸の種類が書いている。
ふと目をやると“ミドルコント”と書いている。
ミドルコント?ショートでもなくロングでもなく、丁度良い時間というコトか?
しかし“コント”と書いている人も居る。
観たい。どういうコトをするのだろう…。
さらに目を下にやる。
“筋肉漫談”、“世田谷系面白音楽”、“法律トーク”、“一人シェイクスピア”等など…。
観たかった…。
同じ背広を初めて買って 同じ形のちょうたい作り
同じ靴まで買う金は無く いつも笑いのネタにした
いつかうれると信じてた 客が2人の演芸場で