その日、間も無く日付も変わろうかという時、彼は家で寛いでいた。

時計を見ると、長針と短針がおよそ1時間振りに寄り添おうとしていた。

 

その時、彼の携帯電話が鳴った。

携帯を見た彼は、知らない番号だ、と言う。

いつもは知らない番号なら出ない彼が、何か気になったのか電話に出た。

受話器から『オレや~』と言う、か細い声が漏れてくる。

「どちら様ですか…?」と彼。

『オレや~、先生忘れたんか~?』と、再びか細い声が漏れてくる。

 

幼き頃からの聞き覚えのあるか細い声。

彼のコトを【先生】と呼ぶ唯一の人。

どうやら彼は、受話器から聞こえる声の持ち主にピンと来たようだ。

 

Mr.オクレ

 

2年程前に共演し、其処から親しくしてもらってるんだとか。

 

『今呑んでるから来て~』とオクレ氏。

「え!今からですか?」と渋る彼。

しかし、こういう時のオクレ氏は引かないので、取り敢えず居酒屋へ向かうコトにした彼。

 

居酒屋へ着くとオクレ氏と、社員が一人。

聞くと、17時頃から呑んでる、と言う。

既にオクレ氏は泥の様に酔っていた。

風邪をひいているのか鼻から水を流している。

彼も合流し、更に呑み続けるオクレ氏。

アホなコトを嬉しそうに、彼に話している。しかし、時折真面目にお笑い論を語る。

 

彼が合流して、数時間後ラストオーダーの時間が…。

帰り支度をする彼に向かって『もう1件行くで~』とオクレ氏。

「!?」

 

これは【終わりなき旅】なのか…。

 

もっと大きなはずの自分を探すとしよう…。

 

 

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