冠二郎(本名: 堀口義弘)は、日本の演歌歌手として「炎」の大ヒットにより「ネオ演歌」「J-Enka」「アクション演歌」の旗手として知られた。埼玉県秩父市出身で、三浦康照と和田香苗に師事し、1967年に「命ひとつ」でデビュー。長い間ヒットに恵まれなかったが、1977年に主題歌「旅の終りに」がヒットし、その後も苦節の時期を乗り越えた。

1992年にリリースした「炎」は、その一節「アイ、アイ、アイライク演歌」により演歌のイメージを変え、若者の支持を受けるきっかけとなった。冠のユニークなキャラクターも相まって、TBSラジオ「コサキン快傑アドレナリン」やテレビ朝日系「ナイナイナ」にも出演し、新機軸の「ネオ演歌」を次々とリリースした。

その後も「酔虎伝」シリーズや伝記もの、特撮テレビ番組のエンディング曲など、異例の作品を発表し、独自のポジションを築いた。また、観光大使に任命されたり、不破大輔率いる「渋さ知らズオーケストラ」にボーカルとして参加したりするなど、幅広い活動を展開した。

冠は晩年には健康面での課題に直面し、サウナ通いを若さの秘訣としていたが、心臓病、糖尿病、口腔がんなどを患い入退院を繰り返していた。2024年1月1日、心不全のため79歳で死去。