- チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]/NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)

- ¥6,825
- Amazon.co.jp
アレイダ・ゲバラ(ゲバラの娘)さんは、この映画について次のように語って
いらっしゃいます。
「母は観たけど、私は観る気になれないの。
はっきりさせておきたいのは、あの映画に対して私たちは100%同意している
わけではないということ。
私たちのことを尊重し、できるだけ忠実に父に対しても誠実に描いてくれてい
るとは思うけど、彼らは、私たちが要求したフィデル・カストロ
さんの描き方に関する訂正を受け入れなかった。
結局はやりたいようにやったの。私たちはカストロさんのことを『おじさん』って
呼んでるんだけど、『おじさん』は父と本当に深い信頼で結ばれ
ていたし、いつもニコニコしている素敵な人なの。
でも、あの作品はアメリカ人が作った映画のせいか、やっぱりどこか批判的なの
よね。」
革命前のキューバは、経済大国アメリカに搾取される植民地で、今の日本よりも
過酷な状態でした。
国民の幸せなど考えもしない傀儡バチスタ政権。
私腹を肥やし、国民側に立つ反対勢力は暗殺され、弾圧されました。
文字も読めず、医者に診てもらったこともない国民が大多数を占めている悲惨な
状況を打破するために立ち上がったのは、弁護士カストロ。
軍隊を使って国民を力づくで支配しようとするバチスタ政権に立ち向かうには、
武装蜂起するよりほかなかったのでしょう。
1953年7月26日「モンカダ兵営襲撃」、この最初の奇襲作戦は失敗し、130人の
同志のうち80人以上が死亡しました。
逮捕され裁判にかけられたカストロは、弁護士として自らを弁護。裁判の壇上で
「歴史が私に無罪を宣告するであろう」と演説。判決で15年の刑期が宣告され
刑務所に収監されましたが、1955年5月には恩赦によって釈放されます。
その2か月後にメキシコへ亡命し、メキシコ到着2日後、政治運動にのめり込んで
いたゲバラと出会うのです。
2人は、その日のうちに意気投合。キューバ侵攻を決意します。
なんともスピーディで、ドラマチックな展開です。
しかもゲバラという存在があれば、映画にしたくなる気持ちもわかります。
だけどカストロなくしてキューバ革命は成し遂げられなかったでしょう。
カストロこそもっと称えられていいはずなのに、本人が偶像化を禁じました。
キューバから占め出されたアメリカ大資本や亡命キューバ人たちは、それは
それはカストロを憎み、しつこくしつこくカストロ暗殺を企てたり、キューバへの
執拗ないやがらせを繰り返し、カストロに「独裁者」のレッテルを貼ったのです。
独裁者と言われても、国際的虐めともいえる経済制裁を受けても動じない
カストロは鉄の男。
社会主義っていうとイメージ悪い人も多いかもしれないけど、貧富の格差が
大きくなった今の日本から見ると天国みたいな国だよ、キューバは。
医療費無料。大学まで学費無料。道ばたで行き倒れる人なんかない。
みんな笑顔。
徴兵制度はあるけれど、祖国を守るための覚悟であって他国を攻めるため
じゃない。隣国アメリカは、とにかくしつこくてえげつない。
日本の心を取り戻すなら、「ケーザイ」にしがみつくのは、もうやめなければ。
カストロは、「社会主義」にも「共産主義」にもこだわらず、大国資本を追い出
して、真の独立を勝ち取ったのです。
そして今も続く革命。
奇跡の国キューバ。
もともと貧しい国だったことから物質文明の誘惑に耐性がある国民と、政権を
とったあとも腐敗しなかった指導者たちの努力の賜物です。