やまんばになりたい | I Love キューバ!!

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時々キューバについて熱く語りたいと思います。

むかし、むかし、わがままな殿様が国を治めていました。

殿様は年寄りが大嫌いでした。

ある日のことです。

殿様は、家来に国中に立て札を立てるよう命じました。

立て札には、こんなことが書いてありました。

「六十を過ぎた年寄りは山に捨てるべし。従わない家はみなごろし。」

誰もが、家中のものが殺されるのを恐れて、殿様の命令に従わざるを

えませんでした。

さて、年老いた母親をかかえた若者がおりました。

「息子よ。私は六十です。山に捨てておくれ。」

「お母さん。そんなひどいことはできません。」

「隣の家のおばあさんも、前の家のおじいさんも、もう山に捨てられました。

悩まなくてもいいですよ。」

若者は、しぶしぶ母親を背中に背負うと、山を登りました。

でも母を山に置き去りにすることはできません。

母親を背負って、夜こっそり家に戻りました。

そして、裏の納屋に隠しました。

数日たった日のことです。

殿様は、村人に灰の縄を作るよう命じました。

「お母さん。お殿様が灰の縄を作れとのことです。やってみましたが

出来ません。誰もできないと、年貢が高くなります。」

「息子よ。それは簡単ですよ。教えて上げましょう。」

息子は、言われた通り、藁縄の輪を作ると、それを塩水の中に入れ、

乾かして燃やしました。

若者は、慎重に、それを殿様のところに持って行きました。

「お主、なかなかやるな。良かろう。それでは、もう少し難しい問題を出そう。

これは、一本の棒である。どちらが根の方で、どちらが枝の方か、一両日中に、

はっきりさせなさい。」

若者は、棒を家に持ち帰りましたが、途方にくれ、母にたずねました。

「簡単ですよ。水の入った桶を持ってきなさい。」

息子は桶を用意し、棒を水の中に入れました。

「見てご覧。下にある方が根っこで、浮いた方が枝ですよ。」

若者は殿様の前で、答えを言いました。

「やるな。それでは一番難しい問題を出そう。

叩かなくても音が出る太鼓を作ってきなさい。」

若者は、真っ青な顔をして太鼓を携えて家に戻ると、母に助けを求めました。
 
「とても簡単ですよ。山で蜂を数匹捕まえてきなさい。」

母親は、少し太鼓の皮を緩めると、蜂をその中に入れ、また皮を締めました。

太鼓が音を立て始めました。

若者は音のする太古を殿様に渡しました。

「参った。そちは一人で三つの難題を解いたのか。」

「お殿様、実を申しますと、問題を解いたのは、私ではなく、母親です。

お殿様は、年寄りを山に捨てるよう命じました。でも私は、そのような残酷なこと

は出来ませんでした。母を納屋に隠しました。年寄りは、体は弱くなっても、

若い者より物知りです。」

殿様はしばらく考えて言いました。

「その通りだな。わしが間違っていた。もう年寄りを山に捨てるのはよそう。」

お殿様は、若い者は年寄りを大事にするべし、というお触れを国中に出しました。





「姥捨て山」のおはなしは、こんなふうにメデタシメデタシで終わらないのが

本当だと思います。

現代社会もこの頃とあまり変わりないようで、国民は働くだけ働いたら

はよ死んでくれと言わんばかりの有り様です。

定年退職し、仕事を失ったサラリーマンは、毎日やることが見つからなくて

朝から酒を飲み、パチンコへ通うようになり、そのうち病気になってあっけなく

逝ってしまうのだそうです。

先日、もうすぐ退職される取引先の方が挨拶に来られて、そんな話をして

行かれました。

自分も、じきに新聞に載るかもしれないなんて笑いながら・・・。

哀しい世の中です。

子供は大きくなれば家に寄りつかなくなり、年寄りだけが残されて、老人が老人を

介護しながら地獄のような生活を強いられていくのです。



私は子供の世話になんかならなくてもいいように、足腰を鍛えて、あの

お気に入りの山の中を駆け巡るやまんばになりたいです。

やまんばは強い。

やまんばはたくましい。

キューバ人になれないなら、やまんば。

飛躍し過ぎ?( ̄ー ̄;