この言葉は世阿弥の能楽論書「花鏡」で演者の視点を述べた言葉の一つで、言葉の意味は、「客観的に俯瞰して全体をみること」です。
世阿弥は「花鏡」で演者は3つの視点を意識することが重要だと説いています。
・「我見(がけん)」 役者自身の視点
・「離見(りけん)」 観客が見所(客席)から舞台を見る視点
・「離見の見(りけんのけん)」 観客の立場になって自分を見ること。客観的に俯瞰して全体を見る力です。
「我見」「離見」のどちらに偏よっても独りよがりになりやすく、「離見の見」という視点を持つことが大切だと書かかれています。
ソーシャルワーカーとして対人援助職として、新しい一歩を踏み出そうとする私に、援助が「独りよがりにならない」「自己満足にならない」「相手の立場に立って考える」、そして行き詰ったときに、「全体から自分をみる、客観的な視点を持つ」ことを忘れないようにと、声をかけてくださったのだと思います。
仕事の経験年数を重ね、後輩が増えたり、役職がついたりすると、組織の中で、自分を振り返ることを忘れがちになっていると感じます。だからこそ、自分を客観的に見ることが必要ではないかと思います。
後輩や同僚の思い、自分が置かれている職場での立ち位置、何を職場でもとめられているのか、そして、自分たちの職種は何ができるのか等々、全体の関係性の中で自分自身を客観的に見る事はとても大切な視点だと思います。それはソーシャルワーカーと患者さんとの関係においても同じですね。
自分自身を客観的に見ることは難しいことですが、常に心の中に「離見の見」を忘れずに新しい年度を迎えたいと思います。
しもしも