私の支援の「根っこ」について、今日はお話します。
私が最初に勤めた病院は、リハビリテーションで有名な病院でした。私が入職して間もないときに、院長回診に同席したときの出来事です。いつものように院長が、患者さんお一人お一人に声をかけています。その中に50代の脳出血の患者さんがいました。その患者さんにとっては、入院して初めての院長回診です。院長はいつものように患者さんに、「リハビリして、どうなりたいですか」と尋ねました。すると患者さんは「中州に飲みにいきたいです」と答えました。新人の私は、「えっ?飲みに?」と頭が?でいっぱいになり、院長が何と答えるのかとその様子を見ていました。すると院長は、「わかりました。また、中州に飲みに行けるようにリハビリをしていきましょう!」と笑顔でさらりと言葉を返したのです。私はこの患者さんと院長のやりとりから、「あーこれがリハビリテーションなんだ」と思いました。その出来事が今でも心に残っています。
さて、現在、診療報酬は在宅に帰ることに点数がついています。点数がつくことは悪いことではないですが、ともすると、リハビリテーションのカンファランスで、患者さんの退院後の目標が、「在宅」か「在宅以外」になりがちではないでしょうか。そして、私たち医療ソーシャルワーカーもつい、「在宅」か「在宅以外」をゴールに設定しそうになっていませんか。
私は自分がその波に呑み込まれそうになったとき、いつも冒頭に書いた院長回診の場面を思い出します。そして、クライエントが障害や病気があっても「どう暮らしたいか」「どう生きたいか」、それを忘れずに「丁寧に面接しなくっちゃ」と自分に喝を入れています。