みなさん、こんにちは!
今回は“介護報酬改定”について少し触れたいと思います!
先日、セミナーへ参加し個人的に気になった点を挙げてみます(私見も含んだ表現もありますのでご了承ください)。
2021年1月18日に社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和3年介護報酬改定案が示されました。改定率は、全体でプラス0.70%です。0.05%は新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価(令和3年9月末まで)であることを考えると実質0.65%プラスですね!
1.感染症(コロナ)と自然災害等への対策義務化。
今回のセミナーでかなりの時間がここに費やされている印象でした。
感染症予防はもちろんですが、“災害に強い事業所”として、どのような災害があっても事業継続ができる又はなるべく早く事業運営(復興)ができるよう、地域とコラボした訓練を行うことや、BCP(事業継続計画)を立てておくという文言がありました。近年、自然災害が増えていることも影響しているのでしょう。
2.介護現場への科学の導入(科学的介護元年)。
個人的には今回の改定の目玉かなと思っています。
これは介護事業所より様々なデータ(ADLの値、栄養状態、嚥下機能、認知機能等)を厚生労働省が集約(事業所が厚労省へデータ提出すると加算がもらえる)し、より質の高いサービス提供、利用者の自立支援・重度化防止というねらいがあり、エビデンスに基づく科学的介護の導入として活用されるようです。介護の分野にもアウトカム評価が少しずつ浸透してきていますが、さらにこの流れが加速する印象を個人的には受けました。また、特養や介護医療院へもこの考え方が組み込まれていますので、“終の棲家”としての考え方が今後どのように展開されていくのか気になります。
3.人員配置基準の緩和について
介護業界の課題のひとつに“人材不足”があります。育児・介護があっても介護に関わるお仕事ができる働きやすい環境の整備といったところでしょうか。例えば週30時間以上の勤務で常勤と認め常勤換算での計算上も1(常勤)と認めるとありました。介護の担い手や事業運営への配慮がみえてきます。
4.サービス提供体制強化加算(上位区分の新設がありました)。
いかに介護の担い手を集め“定着”させるかを事業所に問われた形になったと思っています。この加算は入所・通所・訪問といった事業所が対象となります。例えば、通所系では介護福祉士が50%以上→70%以上の配置へUPしたこと。また、新しい要件として勤続年数も出てきました。有資格者だけでなく勤続年数が長いスタッフが多い事業所への加算ですね!長く働ける環境づくりも事業所には求められるのでしょう。
5.ICTの活用。
運営基準や加算要件で、必要な各種会議等がテレビ電話やZOOM等でOKとなりました。利用者又は家族の同意があれば、担当者会議も含まれます。しかし、利用者の居宅を訪問しての実施が求められるものは除かれています。
6.ケアプランの逓減性の見直し
これまではケアマネージャーが担当する件数が40件以上になると単位数が減る(具体的に言うと39人目までは報酬単価が高く、40人~59人目は半減、さらに60人以上は減るシステム)。しかし、AIを活用したケアプラン作成の導入や事務員を雇用する事業所については44人目までは報酬が減らないことになるようです。
7.医療機関との情報連携の強化(通院時情報連携加算)。
ケアマネージャーが利用者の医療機関への受診に同行(同席)し、生活状況等を報告し医師等からのアドバイスをケアプランへ反映(介護事業所等へ報告しケアに活かしてもらう)した際に「通院時情報連携加算」加算が付くようになりました。医療と介護の連携がより促進するといいですね。
8.通所等での入浴の在り方が変わる?
これまで入浴サービスを提供すると50単位でした。
改定後、加算Ⅰは40単位(マイナス10単位)となりますが、加算Ⅱ55単位が新設されるようになりました。これは医師・PT・OT・介護福祉士・ケアマネージャー等が利用者宅を訪問し、動作及び浴室の環境を評価する。又は適切な福祉用具等の助言を行う。そして個別の入浴計画書を作成し、その計画書に基づいて事業所で個浴の介助を行い自立を目指す、とされています。
その他にも、8050問題など気になるワードもありました。
介護報酬は、医療機関の入退院時のサービス調整はもちろん外来でのフォローの場面でも知っておいた方がいい内容かと思います。皆さんもちょっと介護報酬改定の内容を覗いてみてはいかがでしょうか?
はったらー