今回は、少しだけ私の介護経験を通して、学んだことを書いてみる。

今年も厳しい暑さが続いているが、10数年前の暑い夏に、脳出血で倒れた義父は、急性期病院での治療を終え、回復期リハビリテーション病棟を持つ病院へ転院する。この時、実家近くには、回復期リハビリテーション病棟を持つ病院がないため、我が家に近い病院の回復期リハビリテーション病棟へ転院し、80代の義父は半年間しっかりリハビリテーションを受け、我が家の一員となった。義父の状態は左片麻痺と軽度の嚥下障害、加えて高次脳機能障害、認知面の低下もある状態であり、介護認定は「要介護5」であった。

介護を経験する中で、医療ソーシャルワーカーとしての自分を振り返り、「今までの自分は、本当に医療ソーシャルワーカーとしてクライエントに寄り添い、支援ができていたのだろうか」、と今まで以上に自問自答するようになった。そして、今もその思いは続いている。

また、私は介護者として最後まで未熟で、時に疲れてイライラすることもあったが、義父は常にニコニコし、誰に対しても感謝の言葉を述べ、他人に対し、いつも私のことを自慢してくれていた。私は、以前に担当していた患者さんの奥さんに、介護が続く理由について尋ねたことがあったが、その時に「ありがとうの一言で頑張れるものよ」と話してくれた意味が、介護者となってわかる気がした。

ひとは、弱いし、いつもすべてが上手くいくわけではない。けれど互いに認め合い、感謝の気持ちを忘れずに、日々を送ることの大切さを、義父が教えてくれた気がしている。

心からの「ありがとう」は魔法の言葉だ。みなさんは、身近な人に「ありがとう」を伝えることができていますか。

 

ヤム