2017年8月31日
 

 前回処方されたのは、メスチノン60mg錠を一日三錠。最初は処方通り毎食後の服用から始めたが、すぐに問題が出た。

 メスチノンは服用後十五分程でなんとなく効果が表れ、大体一時間後から四時間後くらいまでが最も効いている時間となる。就寝前に飲んだ分は、朝食時には殆ど効果が無くなっており、朝食後に一錠目を飲もうにも、嚥下や咀嚼に障害が出て、肝心の朝食を食べられないのだった。昼食や夕食についても同様で、やはり薬が切れた状態では簡単に食後を迎えることが出来ない。
「食後に拘らなくても大丈夫ですよ。服用の感覚は2時間以上空けるようにして下さい」
 この問題について担当医に訴えると、当たり前のように返答され、拍子抜けしてしまった。この一か月の苦労は何だったのだろう。

 予備を手元や会社などに置いておきたかった為、この日の診察では、メスチノンを一日四錠に出来ないか聞いてみた。担当医からは一ヶ月置きの通院を提示されたが、仕事への影響が大きく二ヶ月置きでお願いしてみた。いずれも、すんなり許可が出た。

 早速、次の服用から服用タイミングを研究してみた。
 朝六時頃に起床し会社に行く準備をする時、身体が動かずとても時間が掛かってしまう。だからと言ってあまり余裕をもって起きようとすると、睡眠時間が削られ、とても辛い。なので、一錠目は朝一番に飲むことが決まった。
 昼食も、十一時半ころに一錠飲んでおけば、どうにか食べることが出来たが、綺麗に食べることはできないので、同僚と食事を共にするのは気が引けるようになった。具体的には、口から食べ物が飛び出ないように紙ナプキンで口を塞いで咀嚼し、症状が強い時には丼を掻き込むふりをしながら何回か吐き出し咀嚼することもある。
 夕食は、仕事をしている関係で夜の八時か十時頃になってしまう時があり、服用タイミングが悩ましい。食前に服用しようとすると、七時くらいには薬が完全に切れ、ただ座ってることさえ困難となってしまう。かといって、夕方六時に服用すれば、十時の夕食には効果が不完全となっていた。
 暫く試行錯誤した後。午前零時まで血中濃度を一定とするイメージで六時間置きの服用、つまり朝六時、昼十二時、夕方六時の服用に落ち着いた。

 一日四錠の処方に対し、服用は三錠なので、すぐに安心できる量のストックを作ることが出来た。しかし仕事上どうしても身体を動かす必要があり、次第に毎日4錠のメスチノンを飲むようになっていった。
 明確に効果を感じるのは服用後二時間から四時間程度だが、どうやら血中濃度としてはここをピークに、十二時間程度残っているようだと判ってきた。四時間置きに服用出来るとほぼ効果を切らさないことが可能だが、十二時間後に飲む一錠よりも、八時間後に飲む一錠のほうが明らかに効果が強く、前回服用分の残りがあるのだな、と感じることが出来た。

 実はメスチノンには“慣れ”があり、三日ほどメスチノン絶ちする期間を設けないと、だんだん効きにくくなってくるようなのだけど、担当医も慣れがあるという認識が無く、この時はまだ知ることが出来なかった。