「カメのマークスと眠りの池」
フクロウのホーブルは、森の中を焦りながら飛んでいました。
先ほど、オオカミたちが話をしていたのを聞いたのです。
「やっと、美味しそうなカメが、眠りの池に向かっていたぜ!」と。
迷子になっていた小さなカメのマークスを、ここまで育ててきたのは、他でもありません。フクロウのホーブルでした。
一度は食べてしまおうとしたホーブルでしたが、あまりに小さくて可愛いくて、マークスを食べることができませんでした。
最近では、子供を産めなくなった自分のことを、母さんと呼んでくれるようになり、ますます可愛くてたまりません。
そのマークスを食べるだなんて!
冗談じゃないわ!しかも、眠りの池には言い伝えがあります。
眠りの池をみていると、だんだんと眠くなってくるという言い伝えです。
いや、言い伝えなんかどうでもいいわ。もんだいはオオカミよ。
ホーブルは、オオカミたちをどうやって追い払うかを考えながら、眠りの池へと飛んでいきました。
そうとは知らない カメのマークスは、のんびりと のびのび山のふもとの北側にある、眠りの池へと向かっていました。
少し怖いオオカミのおじさんたちが、あそこにはキノコがたくさん生えていると話していたのを、隠れ聞いていたのです。
キノコ?
食べ盛りのマークスは最近、お腹がへって、食べでも食べても満足しません。しかも、大好物のキノコ。
行かない理由はありません。
でも、一つ気になっていたことがありました。
とうして眠りの池って、なまえなんだろう?
池を見ていると。眠たくなってしまうと伝えられているけど、なんでだろう?
そんな疑問を考えて歩いていると、カメの足でもようやく、眠りの池へと到着しました。
特にどうということのない池です。
草があたりに生えていて、木が多くて、しいて言えばジメジメしていることです。光もあまり差していません。
キノコには絶好の繁殖地域です。
その証拠に、キノコの笠がてんてんと見えていました。
「わー!キノコだ!!」
おいしそうなキノコを口いっぱいにほおばると、マークスははむはむと食べ始めました。
ところが四個目を食べた後、マークスは異変に気が付きます。
何か変です。
キノコを見ていると、キノコの笠の下から胞子が出て来て、風に乗ってこちらへと飛んできました。
息を吸った途端に、急に眠気がおそってきました。
ーまさか、このキノコって?眠りの池って、そういうことなの?ー
マークスがそう思った時、その声が聞こえてきました。
「やあ、カメくん。」
この声はキノコのことを話していたあのオオカミでした。一匹は赤い目のガリィ。もう一匹のオオカミは耳の長いダーマでした。
すぐ近くに、あのおじさんオオカミがいるのです。しかも、二匹も。
マークスは必死で眠気と戦いながら、オオカミに明るい声で答えました。
「オオカミのおじさん。こんにちは。おじさん、なにしてるの?」
「キノコを取りにな。なあ相棒?」
「ああ」
にやにやしながらも、オオカミたちはマークスから目を離しません。
「へえー!おじさんもキノコ食べるんだ!」
「もちろんさ。キノコは美味しいからな。」
「僕も大好きだけと、オオカミがキノコを食べるなんて、ほんとかな!?嘘でしょ」
オオカミたちは二匹で見合わせると、ほんとさ!大好きなんだ!と、笑いながら答えました。
「おじさんは嘘つきだよ」
「嘘じゃないさ」
オオカミは、食べるまでのやり取りを楽しんでいるみたいでした。
「じゃあ、教えてあげる。このキノコすごく美味しいんだよ!食べてみて!」
マークスはできるだけ、笑顔で提案しました。
いつまでも、こんなやりとりが続くなんて、たえられません。
しかも、眠たくて眠たくて。
なんとか逃げて、池に入りたいと思いましたが、あまりに遠すぎますし、後ろから捕まえられておしまいです。
なんとかしないと、必死でマークスは考えます。
そして、オオカミに向かって、ほら!食べて!と、キノコをつかんで投げました。
地面に落ちたキノコから胞子か少しだけ、舞い上がりました。
オオカミたちは、迷いもなくキノコを手に取るとマークスにみえるようにムシャムシャと食べて見せました。
「ほら、食べたぞ。嘘はついてないだろう?おいしい、おいしいなぁ。」
「ほんとに、おいしいなぁ」
そう言いながら、二匹は少しずつマークスの方へと、近づいてきます。
「キ、キノコ鍋なんか美味しいと思うよ」
震える声でマークスは答えました。
「そうかなぁ。そのまま、パクリと食べたほうが美味いさ」
「そうそう」
マークスはふるえながらも、眠気に勝てなくなり、その場でくずれてしまいました。
「あらら。気絶したのか。もう終わりか。」
「楽しかったのにな。」
「ああ、残念」
二匹のオオカミは、ゆっくりとマークスに近づいていこうとしましたが、途中で赤い目のガリィが止めました。
「俺が先だ!」
「いや、俺だよ!」
二匹はお互いを睨み、いさかいをし始めました。
その時、バサバサと上から音がしました。
二匹はハッとして見上げました。
すると、木の上に見事な羽根を持ったフクロウか止まっていました。
フクロウが残念そうに言いました。
「カメとキノコ鍋は絶品だよ。食べないのはもったいないよ」
「ああ、フクロウか!なんだと?鍋が絶品なのか!?」
「あら、そうよ。知らないのかい?
揉めるなら、鍋にしてカメがやわくなって半分にして食べたらいいんじゃないのかい?」
「なるほど!」
いつもおいしいところを奪われていた耳の長いダーマが頷きます。
「そうしょうぜ!」
「なら、キノコがいる。取るか!」
オオカミの二匹はそこらに生えていたキノコを取り始めました。
キノコの胞子がふわりと揺れて、あたりに漂います。
フクロウはその様子を、木の上から息を凝らして見ていました。
池のほうから風が流れて、キノコの笠がまたゆれました。
同時に胞子もあたりにふわり、ふわりと。すると、オオカミたちに異変が現れました。
キノコを手に持ったままオオカミのダーマが声をあげて、横に倒れました。
落ちたキノコからも胞子が広がり、もう一匹のオオカミのガリィもマークスに近づいた矢先、力がなくなり倒れていきました。
母さんホーブルは、オオカミたちのうめき声を耳で聞きながら、すぐさまマークスの甲羅を爪で引っ掛けると、その池から一目散に飛んで逃げていきました。
木の巣穴にもどると、フクロウ母さんはホッとしました。
スースーと寝息をたてているカメのマークスに頬をくっつけてなでました。
オオカミをみつけた時は、もうだめかとおもっていました。
ですが、マークスはちゃんと頭を使って、時間をかせいで、なんとか自力で逃げようとしていました。
フクロウ母さんは、「私に似たのかしら?」と、小さく笑いました。
「でも、お前のお芝居もよかったけど、母さんのお芝居も上手だったのよ、マークス。本当に無事で良かったわ。」
それにしても、あのオオカミたち!と、フクロウ母さんの目が鋭くなります。
「今度会ったら、絶対にこらしめてやるわ!」
まあ、この季節だからキノコの胞子が飛び続けて、いっときは目が覚めないでしょうけどね。
優しい顔に戻ると、ムニャムニャと寝言を言うマークスの頭をなでました。
「可愛い私の子、守ってみせるわ。私にはもう、おまえしかいないのだから」
フクロウ母さんは、羽根を広げて、小さな我が子を一晩中、優しく包み込みました。
おしまい
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こんにちは😀
また、なぜか書けたので、更新してみました😂kyuriです♥
うさぎのトッキとヘビの世界です。
「不思議森とのびのび山」のシリーズということにしてみました。
不思議森に色んな動物たちと、不思議なモノがある物語りです。
のびのび山やキラキラの葉、眠りの池、ゆらゆらの湖、トゲトゲの実とか、色々考えてると、楽しくなってきました❤
創作は本当に楽しいです✨
編みぐるみ作家のKIRICOさんとのコラボも、インスタで(KIRICOさんのインスタ)発信しています❤
KIRICOさんのインスタはこちら→
私のインスタはまだ登録しただけ😂
今年は色んな出会いがありそうな予感😆
今年の創作のオラクルを引いたら、カップばかりで😆💖
今からワクワクしてます😊
今年、頑張ります🤩
来てくださった皆様、ありがとうございます✨
ではでは、また~♥
kyuriでした✨
素敵な一日を〜☺️💫