🦊🌿キツネのカーズとキラキラの葉🌿🦊
キツネのカーズはウキウキしながら夜の森の中を歩いていました。
のびのび山の近くにあるという、キラキラの葉っぱをさがしにきたのです。
キラキラと光るものが大好きなキツネのカーズ。
カーズ部屋には、貝殻や空き缶、ガラスや石等、ありとあらゆるキレイに光るものが飾られています。
それでも、まだまだ光るものが欲しくてたまりません。
頭のいいキツネ友達のデイトに、他に何かキラキラしたものないかな!?と、相談をしてみたら、キラキラの葉のことを教えてもらったのです。
その葉っぱは、夜になると不思議なことに葉の先端がキラキラと光るそうです。
もう、それを聞いたらいてもたつてもたまらずに、夜に出かけてきたのでした。
友達のデイトに一緒に行こうと誘いましたが、首を立てにはふりませんでした。
デイトは本が大好きで、1日中でも本を読んでいます。光るものなんて興味もないみたいです。
「僕は、夜に本が読める灯りが欲しいよ」
と言われ、あきらめて一匹で出かけてきました。
今日は、月明かりがあたりを優しく照らしてくれています。
スキップするかのように、カーズは森の奥へと入っていきました。
必死に目をこらしていると、チラチラと小さな光がたくさん見えました。
「キラキラの葉だ!!」
カーズは夢中で走り出しました。
息をきらして、キラキラの葉の木にたどり着くと、カーズは上を見上げてみました。
「うわぁ〜〜!」
夜の空に満開の光が輝いていました。
葉っぱの重なった合間からチラチラと光って、まるで蛍みたいだし、星のようだし、カーズが今までみたことのないキラキラでした。
「これ、部屋に飾れたらいいなあ〜。」
でも、木ごと持って帰るわけにはいきません。
カーズは思いきり手を伸ばして葉っぱを何枚か取りました。
そしてその夜、葉っぱを眺めていたカーズでしたが、すぐに光が失われていきました。
これでは部屋に飾れません。ガックリして泣きそうになりました。
カーズは何度も葉っぱを取りに行ってはためしてみましたが、やはりキラキラは消えてしまいます。
どうにかして部屋に飾りたいカーズは、友達のデイトに相談してみました。
「植物だからな。水が大好きだよ。水につけてみたら?」
友達のアドバイスにより、カーズはまた取りにいって、キラキラの葉っぱを水につけてみました。
「大丈夫かなぁ。キラキラなくならないかな」
部屋の窓に何個も並べて、水の中で光る葉っぱをながめました。
「キレイだなぁ〜」
うっとりながめていると、ウトウトし始めてカーズは少しだけ眠ってしまいました。
カーズが起きた時、不思議なことが起こっていました。
水の中の葉っぱにはもうキラキラはありませんでしたが、今度は水そのものが光っていました。
どうやら、キラキラが水にとけてしまったようです。
「すごいや!!水が光ってる。」
カーズはコップを部屋のあちらこちらに飾りました。しかもすぐに光が消えることはありませんでした。
「小さなお月さまが、たくさんできたみたいだよ」
この光にてらされて、カーズの宝物もキラキラとひかって、カーズはベッドの中で夢心地な気分になりながら、ふと思いました。
「キラキラしてる水、おいしそうだなぁ。飲んだらだめかな?」
急いで取ってきたので、喉がかわいていました。
それに、昨日も一昨日も葉っぱを取りに行ったため、
夜はあまり寝ていなくて、疲れてもう動きたくありませんでした。
カーズはぼんやりしながらも、一つのコップをつかみ、少しだけ飲んでみました。
「あー、少し甘い!おいしい!」
そのおいしさに一気に水を飲み干してしまいました。
気持ちも喉もみたされると、カーズはうとうとし、そのまま寝てしまいました。
しばらくして、体がぽかぽかしてきて、ふと目を覚ましました。
なんだか、体があったかい。
しかも、ベッドやまわりが光っています。
「なに?なにこれ?」
よくみると、まわりがひかっているわけではなく、自分の体が光っていたのです。
「な、何だよ、これ!?まさか、あの水!?」
手のひらをみると、手がお月さまのように光っています。
カーズはびっくりしました。確かにキラキラは好きだけど、自分がキラキラするのはいやです。
第一、天敵に狙われたらたいへんです。
カーズは慌てて自分の体をシーツに包むと、友達のデイトに助けを求めてました。
「デイト!起きてよ!」
デイトはこんな夜遅い時間なのに、月灯りで本を読んでいました。
かけこんできたカーズをみるなり、目をひんむいた後、そこで笑い転げました。
「なんだよ、それ!お月さまでも食べたのか?」
「違うよ!あの葉っぱだよ!」
「キラキラの葉っぱ!?おまえ、食べたのか?」
「違うよ。飲んだんだ。葉っぱが入った水を!」
カーズは今日あったことをまくしたてました。
「へえー!面白いな!水が光るのか
。で、おまえも光った」
たまらずに、またデイトが笑います。
「有名になるぞ、おまえ。光るキツネをみたものは幸運になるって」
「やだよ!のびのび山のヘビじゃないんだから!光るキツネなんかになりたくないよ!」
カーズは床に転がって、今にもなきだしそうです。
「見つかって、フクロウや鷹に食べられる方が怖いよ!ああ、怖いよ!」
確かにな。と、デイトは思いました。
「だけどさ、朝は明るいから狙われないさ。夜に出歩かなければね」
「葉っぱ、取りに行けないじゃないか。」
「わかった、わかった。光るのはきっと、そのうち消えるさ。葉っぱのキラキラも消えただろう?」
「そうかな?ほんとに?」
「ああ。大丈夫さ」
デイトには、なんの根拠もありませんでしたが、カーズは信じてくれました。
「とりあえず、光ってるから今日はここで寝ろよ。カーズ」
「うん、だけど」
「いいから、いいから」
多少強引にベッドへと連れていくデイトに、しかたなく頷いたカーズでしたが、横になった途端うなり始めました。
「ううっ」
「どうした?」
「光ってて、これじゃあ眠れないよ!」
自分の体から出てる光で、まぶしくて寝られません。
デイトは苦笑しながら、ゴソゴソと真っ黒なシーツを探し出すと、カーズの顔にかぶせました。
「これで、大丈夫か。」
「ましになったよ。」
それから静かになると、カーズは疲れていたのか、すぐに寝息をたてはじめました。
デイトは少しホッとしました。そして、心の内で思いました。
ー 上手くいったな。ー
カーズの寝息を聞きながら、デイトは声をたてずに笑いました。
実は、前からデイトもキラキラの葉が欲しかったのですが、面倒くさくて取りにいってなかったのです。
キラキラが好きなカーズに話せば、きっと取りにいくと思っていました。
ー だけど。まさか、体が光るなんて。まったく面白いやつだな。 ー
静かに笑いながら、カーズの光る体近くに、たくさんの本を持ってくると、デイトはそこに座りみました。
ー さて、思う存分本が読めるぞ!! ー
月明かりではなかなか読みづらかった本が、これではっきりと読めます。
これから、キラキラの葉は色々と試してみてもいいな。
実験してみよう。
そして、何かわかったら取ってきてくれたカーズにも教えてやるかな。こいつ、キラキラが大好きだもんな。
寝ているカーズを見ながら笑うと、これから何ができるかなとワクワクしながら、デイトは本の中にしかない空想の世界へと旅立っていきました。
おしまい
「不思議森とのびのび山より」〜うさぎのトッキとへびの続編〜
こんにちは😊
新作、なぜか書けました。うさぎのトッキの世界にいるキツネたちですが、
トッキとは別のものになりましたよ。
なんでかな?
ほんとに、手探りで書いてる感じ。
トッキのほうが、サラサラ書けた気がするけど。
まあ、楽しく書けたからいいか!!😂
読んでいただけたら幸いです✨
ありがとうございました😊
では、また〜。
素敵な一日を〜kyuri♥