宝石赤その42「妖精界と人間界」

 

「みんな、来ちゃだめよ!!!だめだって!!」

 

押さえたドアに向こう側から、開けろ!!と叫び声がします。そして、ドンドン!!と、力が加わり、リア王女達は必死で抵抗をして叫びました。

 

「ダメ!!!食べられちゃう!!お願い!!!」

 

そう、リア王女が叫んだ途端。どこからか、バリ!バリ!バリ!と、激しい音が聞こえてきました。

ドアを壊そうっていう気?と、リア王女が思った矢先、ドアの扉の下から茶色の枝のようなものがいくつもはい出てきました。

バリバリという音の正体はこれでした。

 

「な、なにこれ!?」

 

次々と伸びた枝はやがてグングンとドアや部屋の周りを囲いながら伸びて、枝の先から葉っぱが次々と手を伸ばすようにさらに伸びていきました。

 

「こ、これって!?」

 

「リア・・・?」

 

ライラは昨日、リア王女から聞いていた話を思い出しました。妖精界の入り口。

 

リア王女とライラは顔を見合わせました。

 

その驚いた表情はまるで鏡を見ているようです。

 

そして、二人は同時に叫びました。

 

「森の精、フローラ!!!」

 

枝や葉っぱは、ドアが開くのをまるで邪魔するかのように、ありとあらゆる開いているドアや窓を塞いでいきました。

この先は誰も通さないというように、次から次へと周りを森に変えていってしまいます。

 

「ねえ、でも、なんでその森の精フローラが?」

 

「分からないけど、私達を助けてくれているっていうことはわかるわ!そうでしょ?」

 

「そうね。まあ、私としては、こんなそばで森の精がみれるなんて。やだ!最高よ!!!」

 

ライラは興奮し、自分の頬を手で押さえながら、枝や葉が伸びていくところを、キラキラとした目で見ています。

リア王女は、こんなに嬉しそうにはしゃいでくれるライラが側にいてくれて、本当に良かったと思いました。

 

私だけだったらもっと切羽詰まっていたかもしれない・・・。

 

その時、近くで同じように扉を押さえていたビトンの声が聞こえてきました。

 

ビトンもこの状況に驚いているようです。

 

「王女様!リア王女様~!!フローラだよ!だよ!」

 

ビトンはすでに魔法をといて、てんとう虫の姿でリア王女の肩へと飛んできました。そして、リア王女達が妖精姿になっていることにびっくりしました。

 

「うわ~。王女様が妖精になってる!なってる!きれい、きれい!」

 

「そうなの。妖精王がたぶん食べられないように皆に魔法をかけてくれたのね」

 

「リア王女様も妖精になればいいのに~!!あ、そうだ。もう大丈夫だよ。だよ。フローラが助けてくれる!助けてくれる!」

 

「うん!!あ、そうだわ。ローレンスやビオたちは?」

 

「あそこだよ!だよ!あれ?ローレンスがまた猫になってるよ」

 

「きっと、魔法をかけられたのね」

 

妖精王や猫姿になったローレンスとビオはチュランタがお城の壁に巣を作ろうと出した糸を切りながら、どうしたら蜘蛛を向こう側に戻せばいいか焦って考えていました。

 

「ねえ、ちょっとあの妖精王、何してんの?あの蜘蛛倒さないの?魔法でパパッと!」

 

リア王女が首を振って言いました。

 

「ライラってば!さっき、魔法は効かないってフクロウ男爵が言ってたじゃない?それに蜘蛛を殺しちゃうと、中から色々なものが出てくるって」

 

「あ、そっか!!じゃあどうするの?おとなしくなんて、あの蜘蛛、帰ってくれないよ!」

 

あきらめるのを待つしかないのかしら?でも、いつまでたっても帰らなかったら?どうすればいいの?

 

リア王女はお城の部屋にどんどんと葉っぱや枝が覆い茂っていくのを眺めながら考えていました。

 

(どうすればいい?)

 

周りが妖精界のように変わっていくのを見上げながら、リア王女はふと思いついたことを口にしてみました。

 

「ねえ、この場所を妖精界にしたらどうかしら?」

 

「???妖精界?」

 

ライラにはピンときませんでした。

 

「そんなことできるの?」

 

ビトンは首を振りました。

 

「ここは人間界だよ。だよ。一部だけを妖精界にすることはできないと思うよ。思うよ」

 

 今度はリア王女が首を振りました。

 

「違うの。私達が姿だけでも妖精になって食べられないとしたら、この景色もそうじゃないかと思って」

 

すぐ横で妖精の姿をしたライラは「そっか!!」と、手を叩きました。

 

「なるほどねえ!リア、頭いい!!」

 

ビトンにはまだよく分かりません。

 

「何が景色?ぼく、わかんないよ!!ないよ!」

 

ビトンが不満げに言うと、どこからか声が聞こえてきました。

 

≪ なにがわからないの?ビトン? ≫

 

その声に一番に反応したのはビトンでした。

 

「その声はフローラ?フローラだ!!」

 

「フローラ!??」

 

驚くリア王女たちの目の前で、せり出してきた木の蔓がクルクルと巻きつきながら、人の形を形成していきます。

上半身と腕や顔の形が徐々に出来上がり、やがて木の幹の枝目の中から、鼻や口が形作られて最後に、目が開きました。

その目は深い緑色をしていました。

小さな枝や葉っぱの髪の毛を左右に垂らしたフローラの姿は緑に覆われていて、まるで森の女神のようでした。

 

「す、凄い・・・」

 

初めてこんなにすごい魔法を見たライラは、驚きのあまりその後に言葉が出てきませんでした。

 

「うわ!フローラが姿を見せるだなんて、初めてだよ!だよ!それに人間界に出てきてくれるなんて」

 

≪ ビトン、何が分からないっていうの? ≫

 

「だって王女様がここを妖精界にすればいいっていうんだもん。もん」

 

≪ そうね。妖精界にはできないわね。でも、魔法で景色を変えることはできるわよ。彼女達の姿を変えられるようにね  ≫

 

 

 

 

その43 へ続きます。更新はここまでm(__)m

 

こんにちは。

「リア王女と魔法のジュエル」 その42をお届けできてうれしく思います。

楽しみにしていてくださった方々、読んでくださった方、寄ってくださった方、ありがとうございます。

 

あ~続きが書けてないです。どうなるんでしょう~~!!

でも、きっといつかできるようになります☆

できるって、信じよう!自分のことを信じてあげよう!!!

自分で信じないで、誰が信じてくれるんだって話ですよね~* * *

 

はい!ということで、フローラの登場で、色々また変わります!!

フローラは実は〇〇〇なんです!!え!?っていうことを書きますね。

いつか、楽しんでくれたら嬉しいです☆

 

ありがとうございます~*

 

今回の更新は終わりました。

更新は未定です。

 

またの更新、お楽しみくださいね。最後まで、読んでくださったら嬉しいです♡

ではでは、また、次回でお会いしましょう。