
CPAPとうつ、不眠の関係
CPAPの詳細は上のリンク記事を参照してほしい。今日は、うつと睡眠時無呼吸症候群と不眠の関係について。急に思いつき、iPad miniで書いているため詳細な記事ではない。
基本、うつ病と睡眠時無呼吸症候群はなにがしか関係があるように見える。僕が睡眠外来に紹介した患者さん3名のうち、CPAP適応と診断された患者さんは2名もいた。3名のうち1名はまだ若い20歳代の人でとても睡眠時無呼吸症候群とは思えなかったが、念の為、紹介した患者さんである。CPAP適応の患者さんはうつ病で、若い患者さんは診断もうつではなかった。
旧来の抗うつ剤、3環系ないし4環系抗うつ剤は肥満しやすい傾向があった。つまり、
うつ病発症。
↓
抗うつ剤投与(太りやすい)
↓
首周りも太くなる。
↓
人によれば体型的に気道が閉塞しやすくなる。
↓
OSA(Obstructive Sleep Apnea)
↓
CPAP開始。
↓
睡眠の質が上がる。
↓
間接的にうつ状態改善。
↓
抗うつ剤減量。
と言った流れである。ところが、今は旧来の抗うつ剤はあまり処方されず、主にSSRIおよびSNRIが主流である。それ以外ではトリンテリックスなどが挙げられるが、これらは薬理作用的にあまり肥満しない特性を持つ。一方、リフレックス(ミルタザピン)は旧来の抗うつ剤とあまり差がない。つまり、リフレックスはSSRIやSNRIなどの抗うつ剤よりは太りやすい。
うつ病は不安感やうつがヒトを消耗させる精神疾患なので、うつが改善すれば消費エネルギーが減少し、それだけで体重増加しやすい。トリンテリックスは、身体を動かせるようになる抗うつ剤なので、SSRIやSNRIよりその傾向が少ないかもしれないが、実際そうなのかは詳しくない。
ベンゾジアゼピン系の眠剤は筋弛緩作用があり、睡眠時無呼吸症候群には宜しくない。つまり病態を悪化させうる。そのようなことから、CPAP治療は、特にベンゾジアゼピン系眠剤を服用している人には効果が高いと言われている。
逆に睡眠時無呼吸症候群からうつ病が発症するパターンもある。これは、
OSAに伴う不眠。
↓
日中の眠さから来るQOL低下。
↓
認知機能などの低下傾向。
↓
うつ病発症。
これは書いていて眉唾物だと思う。むしろ、ナルコレプシー的になることによる学業や仕事での失敗体験の増加などから自己評価が低くなったりと、その要因でうつを来たす方が大きいような気もする。
CPAPをすると、初期は無呼吸の回数が減少するなどの好影響のため、実感として睡眠が良くなった感覚を持つ人も多い。しかし、多夢傾向(レム睡眠の増加)になる人は実感として睡眠が良くなったとは思わない。
一方、日中の眠さは減少するので、日中の生活の質の改善からCPAPの価値を評価する人もいる。
おそらく、単にうつ病で眠剤でよく眠れる人の方が、CPAP機器を利用する人より、眠る時の鬱陶しさを含め、睡眠の質の実感は良いのであろう。だからこそ、CPAPを開始しても多くの人がやめてしまうのだと思う。
うつ病そのものが、CPAP単体で劇的に良くなるわけではないと言うのももちろんある。

