疼痛性障害と前頭前野 | kyupinの日記 気が向けば更新

疼痛性障害と前頭前野

疼痛性障害が最終的に改善してしまう理由についてずっと疑問に思っていた。疼痛性障害はどうも恒久的なものではないようなのである。精神科の臨床感覚では疼痛性障害は疾患名というより症状名あるいは状態像に近い。

 

色々調べてみたところ、疼痛は前頭前野に関係が深いらしい。つまり前頭前野が機能不全を起こしていると疼痛が出現しやすいのである。

 

前頭前野がどの程度機能不全だと疼痛が生じやすいかは不明だが、少なくとも臨床感覚にはかなり一致している。そう思う理由は広汎性発達障害と疼痛性障害は関係が深いからである。

 

中核群の統合失調症の人たちは疼痛性障害がほぼ合併しない。統合失調症は前頭葉の機能障害もあると言われているが主と思われる疾患の座は前頭葉ではないこともあると思われる。

 

一般的に慢性的な経過を辿るとされる統合失調症に比べ、広汎性発達障害の精神症状は不連続に良くなったり悪くなったりする。その症状の波というかぶれのタイミングで、突如、疼痛が改善ないし消失してしまうのかもしれない。いわばスイッチが切れる感じである。

 

逆に悪化時に疼痛が再現することもある。疼痛性障害は極めて脳の機能的病態である。それを支持するものとしてECT直後に魔法のように長く続いた疼痛が消失していることなどが挙げられる。また、これは治りそうもないように見える疼痛が薬物治療で数か月後には何もなかったように消失し就労しているなどもそうである。

 

逆に広汎性発達障害以外の主病名を持つ人が疼痛性障害を合併しているケースは、広汎性発達障害的要素があるのかどうかを精査すべきと思う。

 

そのパターンは時にうつ病や双極性障害に診られる。

 

参考

アスペルガーと前頭前野