サインバルタの抗うつ剤併用状況 | kyupinの日記 気が向けば更新

サインバルタの抗うつ剤併用状況

過去ログで、外来患者はワードファイルに処方内容をまとめていると記載している。これは全てではないが、おそらく90%以上は記録されていると思う。今回、サインバルタの併用状況を調べてみた。どの抗うつ剤を選ぶかは精神科医により好みもあるので、ある1例といったところだ。

 

自分の外来患者でサインバルタを処方している人は41名いる。そのうち、

 

60㎎ 14

40㎎ 11

30㎎ 6

20㎎ 10

 

となっており、最高用量60㎎が多いが、30㎎以下も結構いる。処方用量はうまく分散しているように見える。

 

サインバルタは強力な抗うつ剤ということもあり、相対的に重いうつ状態の人に投与されている。サインバルタを投与してなお他の抗うつ剤を投与されている人もおり、その処方状況をサインバルタを軸に調べてみた。なお、今は抗うつ剤の投与制限があるため、追加処方したとしてもあと1剤である。

 

サインバルタ60㎎(14名中)

アナフラニール 25㎎   1

リフレックス 30㎎    1

リフレックス15mg     2

ジェイゾロフト37.5㎎   1

レクサプロ10㎎      1

レスリン50㎎       1

ルジオミール20㎎     1

 

上のように、抗うつ剤のカテゴリーでサインバルタ60㎎単剤は6名、併用は8名だった。一部に抗うつ剤の切り替え中の人もいる(ジェイソロフトの人など)。併用のパターンはリフレックスが3名と一番多いが、全体からみればさほど多いとは言えない。

 

サインバルタ40㎎(11名)

パキシルCR50         1

レクサプロ5㎎      1

リフレックス15㎎     1

トリプタノール150㎎   1

ブプロピオン150㎎    1

アモキサン10㎎      1

 

サイバルタ40㎎の人は抗うつ剤の併用は11名中6名。40㎎の人は60㎎の人と比べ事情が少し異なる。まず、忍容性が低くサインバルタ60㎎の服用が難しいために、うつ状態の意改善に他の抗うつ剤を使っているケース。またはどちらかの抗うつ剤を単剤で投与するより、この組み合わせの方が良い人たち。たまに本人の強い希望でこの処方になった人もいる(パキシルCR併用など)。上でトリプタノール150㎎併用はかなり特殊な例だが、疼痛が酷い人にこの処方をするとかなり良いため併用している。この人はむしろトリプタノールがメイン処方と言えるが、これは単に大量の抗うつ剤を使っていることに他ならない。(忍容性も十分な人)。

 

サインバルタ30㎎(6名)

レスリン200㎎   1

レスリン100㎎   1

アモキサン50㎎  1

 

サインバルタ30㎎の人たちは実質単剤と言える人がほとんどである。レスリンは抗うつというより睡眠の改善のため補助的に併用している。アモキサン併用の人はサインバルタから変更中であり、直前までサインバルタ60㎎であった(漸減中)

 

サインバルタ20㎎(10名)

リフレックス15㎎   2

リフレックス30㎎   1

 

サインバルタ20㎎の人たちは完結している人がほとんどである。時にリフレックスが最高量使われている人などに、サインバルタを少量追加しリフレックスが減量できた人。また、一部に睡眠の改善のためにリフレックスが残された人もいる。サインバルタの低用量の人に、強い3環系が併用されることはほぼない。

 

このようにみていくと、うつ病、うつ状態と言ってもそのレベルはさまざまで、サインバルタ1剤とってみても必要用量の個人差は大きい。また、サインバルタを最高量60㎎をもってしても改善が不十分な人がおり、そのような人たちはサインバルタにほかの抗うつ剤を併用するか、他に変更して対処する。服用しやすさが個々の抗うつ剤によって差がある上に、個人による忍容性もさまざまなので、これが良いと言えるものではない。また、精神科医による好みもあると思われる。

 

サインバルタはこの抗うつ剤単剤で済む人は41名中21名で約半数だったが、一部に切り替え中や、睡眠の改善のために補助的にレスリンやリフレックスを併用している人もいるので、実質的には50%未満だと思う。

 

調べてみた感想はサインバルタは意外に単剤で済んでいる人が多く、名前を見ていると結構、寛解している人が多い。サインバルタは不安にもまあまあ効くためか、SSRIの併用も意外に少なかったのである。