アモキサンとルジオミールの休薬 | kyupinの日記 気が向けば更新

アモキサンとルジオミールの休薬

ある時、アモキサン50㎎、ルジオミール50㎎で治療中の内因性うつ病の患者さんから、しばらく薬をやめてみたいという希望があった。

 

その患者さんはかつて入院治療もしていたが、退院以降経過は良好で長く安定していた。このようなケースでは個人の希望が優先されるので主治医に意見を聞かなくても止められないわけではない。

 

アモキサンとルジオミールは旧来の抗うつ剤では結構強力な抗うつ効果を持つが、それぞれ最高量処方されているわけでない。SSRI発売以降に初診しており、それまでの投薬歴からこの処方になったと思われる。

 

それでもなお、なぜこの2剤の併用になったのかは不明である。実は、かなり前の入院歴だったのでよく覚えていない。自分でも珍しい組み合わせで、ひょっとしたらこの人しかいないようなペアだと思う。

 

当時、その人の周囲の状況から止めても良いような機会でもあった。その理由はストレスが激減する状況だったことと、もう1つはC型肝炎の治療を行うというからである。C型肝炎の治療時はできるだけ肝臓に負担をかけない方が良い。

 

また家族のサポート状況から、悪くなったらすぐに受診すると思われるので希望通り無期限の休薬とした。可能ならそのまま中止といったところである。

 

アモキサンとルジオミールだったので漸減せずにそのまま中止したところ、全く受診がなかったため、それなりに順調だと思われた。

 

今回の記事は誤解してほしくないが、休薬が良くないと言ったものではない。減薬あるいは休薬する際には、その患者さんの環境や、疾患性、周囲のストレスなどの状況が重要といったものである。

 

その後、その患者さんは1年後に再受診した。その患者さんによると、最近、急激にストレスがかかる状況になり、次第に不眠状態になり服薬しないと体が持たない。薬を再開してほしいという。

 

この日、悪化はあったが、突然アモキサン50㎎、ルジオミール50㎎処方するような状況ではなかった。この人の場合、ルジオミールは眠剤的に処方しているので眠前にルジオミール、日中にアモキサンといった感じである。

 

良かったのは、その空白の1年間でC型肝炎が完治していたことである。そのようなことから、その1年間の休薬も意味があったと思う。