大日本住友製薬とロナセン | kyupinの日記 気が向けば更新

大日本住友製薬とロナセン

創薬では日本は世界3位だという。1位と2位はアメリカと英国である。どうもフランス、ドイツ、スイスなども創薬ではかなり上位のような気がするので、3位とは意外であった。

ここ20年で、国産の向精神薬では、最大のヒットは大塚製薬のエビリファイだと思う。日本1国を考えても、エビリファイが国産であるのと海外からの導入品では大変な違いである。

以下、大塚製薬のサイトから。
「エビリファイ」は2002年に米国で最初に発売され、現在は日本を含めた世界60カ国・地域で販売されています。2012年度の世界での売上は約4,385億円となり、2012年10-12月には米国で全医薬品売上No.1の薬剤になるまで成長しました※7。2013年1月から米国におけるエビリファイの販売は大塚製薬単独体制となり、4月からは欧州においては中枢領域でグローバルアライアンス提携を組むルンドベック社と共同販売を開始しています。

エビリファイについて、日本に問題があるとすれば、海外の方が日本より早く上梓されたことだと思う。

大日本住友製薬は元々、大日本製薬と住友製薬が合併した会社である。それ以前の製薬会社があるのかもしれないが詳しく知らない。この社名は本来の会社名がわかるネーミングになっている。

ところがアステラス製薬は社名に2社の名前を残していないため、医師でも元の薬品会社を忘れてしまっている人もいる。アステラス製薬は、山之内製薬と藤沢薬品が合併してできた会社である。山之内製薬も藤沢薬品も東証の上場企業であり、有名な製薬会社であった。

バブル当時に比べ、都市銀行と同じく、製薬会社も再編・統合されている。

大日本住友製薬によるロナセンは新規抗精神病薬であるが、海外では唯一、韓国でしか発売されていない。ヨーロッパや北米では販売されていないのである。大日本住友製薬は、ロナセンを積極的に海外展開するつもりはないように思われる。

大日本住友製薬としては、韓国や中国で販売を行っているが、やはり、

大日本住友製薬

の社名ではまずいらしい。「大日本・・」で始まっている時点で、彼らの琴線に触れ、旭日旗を思い出させるのかもしれない。

そのため、韓国、中国では社名は「住友製薬」にしているという。(詳しくは住友制葯(蘇州)有限公司)

「大日本」はまずいが、「住友」は問題ないようなのである。

なお、大日本住友製薬は、英語表記では、Dainippon Sumitomo Pharma Co.,Ltd.となる。大日本はだいにっぽんと読むのである。

年配の医師によれば、(旧)大日本製薬は日本らしい会社名と言う人もいる。Dainipponで始まっているのは素晴らしいと話していた。大日本製薬はなんと19世紀に創業しているのである。

一方、住友製薬は元々、住友化学の薬品部門だったと思う。従って大日本製薬の方が、歴史が長い。大日本製薬は、太平洋戦争中には軍用のヒロポン(覚醒剤)も生産している。戦争中と戦後の混乱期には覚醒剤は、現在のように法律で強く規制されていなかったのである。

そのような視点では、大日本住友製薬は、前半も後半もどうしても名前を消したくなかったような気がする(これは僕の想像だが)。だからアステラス製薬のように、元の会社名がわからないネーミングをしなかったのかもしれない。

ところで、台湾では大日本製薬時代、台湾大日本製薬股份有限公司という名前の会社で営業していた。

このようなところにも、中国と台湾の「日本という国」への意識の温度差があるような気がして興味深い。