その薬が有効なのではなく、「過程」が有効 | kyupinの日記 気が向けば更新

その薬が有効なのではなく、「過程」が有効

薬物治療の試行錯誤の際に、特に減量の場面で一時的に振戦が増えたり、あるいはふらつき、転倒が生じやすくなることがある。

場合によると、発汗などもみられ、一見、悪性症候群の端緒のように見えることもある。実際、CPKを測定すると、数百~数千に上昇していたりする。

しかしそのまま薬を変えず(元々減量していることが多いわけで)、補液を実施していると2~3日で症状が消退する。長くても5日以内には収束する。

薬を完全に中止するかどうかは、本人の精神症状、身体症状、検査所見を総合的に判断する。だいたい、リスパダールコンスタなどを併用している場合、切るに切れない。

その後、妙に大人しくなり、険しい表情や暴言などが診られなくなる。看護者は、

あの薬が効いたのでしょうか?

と尋ねたりするが、実際は、ほとんどの場合、新しい薬など使っていない。単に薬を弄っていただけである。

この場合、何か特別な薬が効いたのではなく、「薬」と言うなら何でも良かった。むしろ、その手法(操作)が効いたと診るのが自然で、

「その過程が有効だった」

といわざるを得ないのである。

つまりだが、精神症状を改善する方策なんて、そこら辺に落ちているようなものだ。

参考
悪性症候群の謎
悪性症候群の謎(補足)

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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