パキシルCR | kyupinの日記 気が向けば更新

パキシルCR

パキシルの徐放剤、パキシルCRは早ければ2012年4月、遅くても6月には発売になるようである。末尾のCRは

CR=controlled release

と言う意味。剤型は12.5mg、25mgの2種類で、従来の10mgが12.5mg、20mgが25mg錠に相当する。(コーティングなどで用量が25%アップする。)

だから、10mg服用している人は12.5mgに変更すれば良い。しばらくは従来の剤型と徐放剤が併売になるようである。処方状況によると、3年位して徐放剤だけになるかもしれない。(薬価は従来の錠剤と同じ)。

アメリカでもパキシルは同じ商品名で売られており、CR錠は12.5mg、25mgの他、37.5mg錠も発売されている。

パキシルに限らず、一般にアメリカでは日本に比べ適応が広く、パキシルでは、全般性不安障害、PTSD、糖尿病性神経障害、頭痛、早漏にも適応がある。また、アメリカではパキシルCRに限り、適応にPMS(月経前症候群)が挙がっている。

今回の日本で発売のパキシルCRの適応は、「うつ病、うつ状態」としかパンフレットには書かれていない。これは従来の他の適応症は、まだ治験が終わっていないからかもしれない。(レセプト的にはうつ病、うつ状態以外は使えない)

CR錠の用法・用量だが、初期投与量は1日1回夕食後12.5mg。その後1週間以上かけて25mgに増量する。その後の増量も、1週間以上の間隔をあけて、12.5mg単位で増量する(25mgから50mgに一気に増量するのはできないと言う意味)。最高量は50mgを超えないとされている。

この辺りの用法の日米差が興味深い。アメリカでは、パキシルCRは25mgから開始し、朝服用し、服用の際に食事をしてもしなくても良いように記載されている(つまり日本とはかなり違う)。アメリカで許される最高用量は62.5mgである。

パキシルCRは、急激に血中濃度が上昇しないよう工夫されており、日中の血中濃度の変動が少ない。これは腸溶性フィルムコーティングがされていて、胃での溶解を防御し十二指腸で溶解されるからである。またフィルムコーティング溶解後も、2層の放出制御技術により一気に放出されないようになっている。

近年は精神科以外の薬物ではCRに切り替えが進んでいる。これは血中濃度の日内変動をなるだけ抑えるため、工夫されるようになったものと思われる。

最近のアメリカでは、通常の製剤とCR製剤の比が、

通常:CR=31%:69%

にまで上がっているらしい。グラクソとしては、パキシルCRは新薬であるが、パキシルはもはや古い薬なのでできれば2週間処方制限を受けないようにしたいらしい(2週間処方制限があると、1年間は切り替えが進みにくいため。今のところどうなるかわからない)。

参考
パキシルの徐放剤