アスペルガー症候群の犯罪 | kyupinの日記 気が向けば更新

アスペルガー症候群の犯罪

今、簡易鑑定書を書いている。やっと本人歴の後半に入ったところ。今回はアスペルガー症候群の犯罪。だから、後半が長いのよね(考察の部分)。よく考えたら僕のブログの中のアスペルガー症候群のエントリは、治療経験しか書いていないので、こういうときに全然役にたたん。こういう簡易鑑定は、早く仕上げないといけないので、今日、明日が勝負。それ以上時間をかける気がしないのもある。

この事件はすごく興味深い内容なんだけど、ちょっと面白いと思ったのが「統合失調症」と誤診されていたこと。いかに、調子の悪いときは見分けがつかないかがわかる。最初、簡易鑑定の場面で、すぐに目の動きが統合失調症とは違うのに気がついた。いろいろ生活歴を聞いてみると、ますますアスペルガーらしきエピソード満載といった感じ。

僕の場合、統合失調症かどうかはすぐわかるのよね。普通1分以内。瞬間的にわかることもある。ただ、否定的なケース、つまり統合失調症でない時、「だったら何なんだ」というのがすぐにはわからないこともある。僕は30分以内にわからない時は、その日はもういくら診たってわからないと思う。こういうのは考えて思いつくのとはちょっと違う。別な日に診るとか、生活歴や現症を検討して決めるしかない。

今回の誤診のドクターは僕の後輩で知っている人なんだけど、2000年頃に診断しているので、まぁ仕方がない面もあるかと。日本でアスペルガー症候群が認知され始めたのは1990年くらいからで、それまではアスペルガー症候群の診断自体がなかった。それに、アスペルガーは診察時に視線を合わせない人もいたりと接触性に問題があり、特に病状が悪いときは判りにくい面がある。しかし、しばらく診てれば統合失調症ではないのは明らかまではないけど、普通はおかしいと思うはずで、統合失調症以外の誤診をしてほしかったというのはある。

ところで、アスペルガー症候群で幻覚妄想に支配されてなされた犯罪ならともかく、そうでない場合は、責任能力ありで罪を償わなくてはならないケースが多い。アスペルガー症候群は人格障害的に扱われているのである。

では、鑑定書に戻ります。