ECTの謎 | kyupinの日記 気が向けば更新

ECTの謎

今日、先月数回ほど電撃療法(ECT)を実施した青年がやってきた。(過去ログ参照・8月26日のブログの続き) それまで市内の友人のクリニックにかかっており、うつ状態が改善せずECTを勧められてうちに来た次第。その青年は希死念慮が強いなどはなくて、少なくとも差し迫った状況ではなかった。しかし友人から見ていつまで経っても埒があかないと思ったのであろう。青年にECTを勧めたようである。


彼の経過だが、最初1回目が終わった時、だいぶん良いと話していた。2回目は食事をして来ていたので中止し翌週に延期した。ところが2回目を実施した後、1回目の後よりは状態が悪かったという。ここがECTの謎な点である。ECTは1クールで考えると、概ね回数を経るごとに改善することが多いが、たまにもう1回したために病状が悪化することがある。どのあたりで変化が大きいかというと、初回と2回。1回目はたいして良くはないけどちょっとはマシくらいの感想が多い。2回目は、もっとも改善するポイント。ここで良くならないときは、3回目の後もあやしい。2回目の後あまりにも改善している場合、3回目は取りやめることもある。なぜなら、1つ前に戻ってしまうことがあるからだ。それにしても不思議な治療法ではある。ECTはダウンレギュレーションの理論でいうと、アップレギュレーションさせることが知られており根本的にこの理論と矛盾している。


この青年だけど、3回目の後でかなり改善したと言う。まぁ結果的には良くなってよかった。よくなり方を聞いてみた。本人によれば、3回目の直後から次第に良くなっていったという。2~3週間したらまた来てくださいと伝えていて、今日来院したのだ。今日は体調などを聞き他は何もなし。とりあえず今回で僕の治療は終結。僕は処方はしていないので、友人のクリニックで薬物療法を続けることになる。