セント・ジョーンズ・ワート(その4) | kyupinの日記 気が向けば更新

セント・ジョーンズ・ワート(その4)

その他の論文
レビュー:セントジョーンズワートはうつ病性障害に対しプラセボよりも有効である。(Cochrane Review,latest version 09 Jul 1998)

結果
データベースから抽出した45件のうち27件が基準に合致し、対象患者は2291名となった。このうち、17件の研究は、プラセボとセントジョーンズワートの比較であった。追跡期間は平均5.5週間。
  
結果はプラセボよりセントジョーンズワートに反応する患者の方が多く、(14研究、p<0.001)セントジョーンズワートと低用量の抗うつ剤では患者の反応率に差はなかった。副作用の数は、セントジョーンズワートの方が低容量の抗うつ剤よりも少なかった。

レビューの論評の抜粋。

多くの医師は、”民間療法”(alternative)に懐疑的で、有効な客観的証拠、特に無作為化対照試験のデータが存在しないという批判に応対している。(中略) 結果はセントジョーンズワートはプラセボより優れており、うつ病の治療には低用量の三環系抗うつ剤と同程度の効果があることが示唆されている。セントジョーンズワートの作用機序は、従来の抗うつ剤と同様にモノアミンの再摂取抑制であると思われる。(中略。ここでの論文は対象患者標本数が多く、質が高いことを強調。) 本研究で示されたセントジョーンズワートのデータを考慮すればその優位性を否定するのは公平ではないであろう。本研究はセントジョーンズワートをある程度支持するものの、解決すべき問題点はある。まず、用量に不詳な点が多く、これら臨床試験でも投与量は著しく異なる。薬草による治療は規律性を欠き、市場に出ても、一般の薬物に比して監視の対象になりにくい。したがって頻度の低い有害作用についてはほとんど知られていないのが現状である。ほとんどの臨床家は慣れ親しんだ抗うつ剤を処方し続けたがるものであるが、従来の抗うつ剤に耐えられなかった患者や、いわゆる「自然療法」を好む患者には、セントジョーンズワートは有用であると考えられる。

(これは2002年頃にウエブにアップしたものです)